【営業職から転職】SaaSへのキャリアアップをするには?インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスへの転職を解説します
今回は、元転職エージェントとして「営業からの転職」をテーマにお伝えしたいと思います。人気のあるインサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスへの転職についてお伝えしたいと思います。
SaaSとは
SaaSとは「Software as a Service」の略で、「サース」または「サーズ」と呼びます。
SaaSには、法人向けから個人ユーザー向けまで、広くさまざまなサービスがあります。例を挙げると、法人向けではグループウェアや会計ソフト、名刺管理ツールなど業務・業種別に多数のサービスがあり、個人ユーザー向けは、動画配信サービスや音楽配信サービスなど人気の高いサービスが豊富にあります。
SaaSの種類
SaaSは、「ホリゾンタルSaaS(Horizontal SaaS)」と「バーティカルSaaS(Vertical SaaS)」の2つが存在します。
ホリゾンタルサース
ホリゾンタルは「水平な」という意味を持つ言葉で、業種・業界に関係なく、あらゆる顧客が必要とする「汎用的な業務」を支援するソフトやサービスのことを指します。
日々の会計処理や決算書の作成などを支援する「会計クラウドソフト」は、ホリゾンタルサースの代表例です。
- サイボウズ株式会社
- 株式会社マネーフォワード
- Chatwork株式会社
- Slack Technologies
- Dropbox
- 弁護士ドットコム株式会社(クラウドサイン)
- Sansan株式会社
バーティカルサース
バーティカルは「垂直な」という意味をもった言葉です。
業種・業界に関係なく、あらゆる企業に向けたソフトやサービスを提供する「ホリゾンタルサース」に対して、バーティカルサースは特定の業種・業界で使用することを目的としたソフトウェアを提供しています。
例えば飲食店向けの「テイクアウト発注システム」や、医薬品の在庫管理を支援する「医薬品在庫管理システム」などが、バーティカルサースにあたります。
日本のSaaS市場はホリゾンタルサースが主流でしたが、近年はバーティカルサースも台頭しており、業種・業界ごとに特色あるサービスが多数生まれています。
- 株式会社アンドパッド(ANDPAD)
- 株式会社Skillnote (SKILL NOTE)
- Ubie株式会社(AI受診相談ユビー)
- 株式会社リクルート(Airレジ)
- 千株式会社(はいチーズ!)
- スタディプラス株式会社(Studyplus)
SaaS業界の働き方は本当に“自由”なのか

SaaS企業は、一般的にリモートワークやフレックスタイム制度を導入している企業が多く、働き方の柔軟性が高い傾向にあります。
出社義務が週数回のみ、フルリモート可、コアタイムなしのフレックス制度など、従来型の営業会社とは明らかに異なる環境です。
しかし、ここで重要なのは「自由=楽」ではないという点です。柔軟な働き方が可能ということは、裏を返せば「管理されない」ということです。
SaaS企業では、「自分でKPIを管理できるか」「上司に言われなくても改善できるか」「成果から逆算して行動設計できるか」が前提になります。
特にリモート環境では、行動量ではなく“成果”しか見られません。
そのため、「成果を残す」「自走力」「セルフマネジメント力」「論理的思考力」がないと評価は上がりません。結果として、採用ハードルも自然と高くなります。
自由な働き方には責任が伴う
「フルリモートで働きたい」
「柔軟な環境で働きたい」
こうした動機でも問題はありません。しかしSaaS企業側の本音は、「成果を出せるなら、どこで働いてもいい」です。
つまり、自由は“信頼の証”であり、“成果前提の制度”です。実力が伴わなければ、自由は維持できません。
経験が浅い場合は“修行期間”が必要
SaaS未経験、法人営業未経験、無形商材未経験の場合、最初の2〜3年は“修行期間”になる可能性が高いです。
なぜなら、
・SaaSは提案難易度が高い
・意思決定プロセスが複雑
・ROI説明が求められる
ためです。最初から理想条件をすべて満たす企業に入れるケースは多くありません。年収、ポジション、フルリモート可否など、ある程度は優先順位を下げる必要が出てきます。
最初は“選り好みしすぎない”ことが重要かもしれません。
SaaS業界に入りたいのであれば、「まずはSaaSに携わること」これが最重要になります。SMB向けでも、シリーズBでも、ポジションがISでもまずは「SaaS」を経験することが大切になります。
一度SaaS経験がつけば、次の転職で条件交渉がしやすくなります。
営業からインサイドセールス(IS)への転職
インサイドセールスの仕事内容は、マーケティングから引き継いだ情報をもとに、リード(見込み顧客)にアプローチをかけていくのがインサイドセールスの役割です。
自分でリストを作成し、テレアポをしていく営業スタイルとは違い、電話やメールなどのツールを用いてコミュニケーションを図り、自社サービスへの興味・関心がどれくらいあるのか、いつごろ導入したいと思っているのかなど、さまざまな視点から情報を引き出し、商談のアポイントメント獲得を目指します。
◆インサイドセールスへの職種の主な採用基準◆
・店舗運営などの接客販売経験(数字を追った経験)2年以上
・コールセンターの経験:1年以上
・新規開拓営業経験:1年以上
・個人営業経験:2年以上
・法人営業経験:1年以上
企業の採用基準によって求められる「経験年数」は違います。
年収が高く、求められるスキル経験が高ければ高いほど3年以上の経験は必須になる傾向があります。あくまでも最低限の基準です。

営業からフィールドセールス(FS)への転職
フィールドセールスは、インサイドセールスがリード(見込み顧客)から聞き出した情報をもとに、リード(見込み顧客)と商談を進めて案件を獲得し、クロージング(成約)までを担います。
実際に客先を訪問して商談を進めることが多いことから「フィールドセールス」と呼ばれています。
◆フィールドセールス職種の主な採用基準◆
・有形商材を扱う営業経験:2年〜3年以上
・無形商材を扱う営業経験:1年以上
・新規開拓営業経験:1年以上
・個人営業経験:2年以上
・法人営業経験:1年以上
企業の採用基準によって求められる「経験年数」は違います。年収が高く、求められるスキル経験が高ければ高いほど3年以上の経験は必須になる傾向があります。

営業からカスタマーサクセス(CS)への転職
カスタマーサクセスの仕事内容は、案件がクロージングし、お客さまが自社サービスを導入した後のフォローアップを担うのが、カスタマーサクセスです。
現在のサービスに満足していただいているのかなど、顧客にヒアリングを行い、サービスを継続して使っていただけるようサポートしていきます。また、顧客の新たなニーズを掘り起こして、別サービスを提案することも仕事に含まれます。
継続率を高め、新規サービスの提案により売上を拡大することが、カスタマーサクセスのミッションになります。
◆カスタマーサクセス職種の採用基準◆
・有形商材を扱う営業経験:2年〜3年以上
・無形商材を扱う営業経験:1年以上
・新規開拓営業経験:1年以上
・個人営業経験:2年以上
・法人営業経験:1年以上
・コールセンターSV経験:2年以上
・開発経験(保守運用もしくは要件定義のご経験):2年以上
・プリセールス経験:1年以上
・中規模SIでの顧客窓口(顧客要望等のヒアリング経験):1年以上
・フロントエンジニア(顧客折衝経験必須):1年以上

SaaS営業の平均年収:350万~800万
平均年収500万が相場、上級職になると1000万を超えるところもあります。
企業によってピンキリで、求める給与体系や福利厚生の充実度によって年収が大きく変わります。20代半ばで法人営業経験のある方であれば、400~450万円程度の年収を見込むことができます。
SaaSと親和性の高い無形商材の営業経験があり、前職での営業実績が評価されれば500万円以上の年収を狙うことも可能です。
また、年功序列型ではなく成果主義を採用している企業が多く、昇給率が高いのもSaaS業界の特徴です。
役職者になると700~750万円程度、さらに上のポジションに昇格すれば1,000万円を超えることも十分に考えられます。
SaaS企業で求められるスキル
法人営業経験
SaaSはBtoBのビジネスであるため、法人営業経験のある方を歓迎する傾向にあります。
業界を問うようなことはありませんが、SaaSと親和性の高い無形商材の経験があれば、さらに採用の可能性が高まります。
論理的思考力
SaaS業界が必要としている人材は、論理的に考える力をもった方です。
例えばインサイドセールスはマーケティングがまとめたリード(見込み顧客)のリストをもとにアプローチをかけていきますが、やみくもに次から次へと連絡をとり、数で勝負するような営業スタイルは取っていません。
数値目標から逆算して、どうすれば目標とする顧客を獲得できるか、根拠に基づいて論理的に組み立てて、行動します。このような論理的思考力は、インサイドセールス以外の職種も同様です。
そのため、面接では「論理的思考力」を重視され、「結論ファースト」「仕事内容を分かりやすく伝えられるか」などを確認されます。
SaaS営業が目指せる次のキャリア

SaaS業界で身につけたスキルや経験を生かすことで、大手SaaS企業への転職やPaaS業界への転職など、さまざまなキャリアが拓かれています。
SaaS業界内で転職する
SaaSは新しいサービスであるため、SaaS業界から他業界へ転職を果たした方は、それほど多くありません。
SaaS業界の第一線で活躍し、経験を積んでいる方がほとんどです。
例えばベンチャー企業に転職した方が、一定の経験を積んだ後、そのスキルと経験を武器に規模の大きなSaaS企業へ転職するケースもあります。
直近の転職市場では「エンタープライズ」向け営業の経験が高く評価され、年収を大幅に上上げている傾向があります。
SaaS営業の選考の特徴

SaaS企業が採用において重視しているのは、「ビジョンの共感」と「数値目標の達成意識」が多い傾向にあります。
同じサービスを扱っている会社でも、価値観やビジョンはそれぞれ異なります。企業理解を深めるためにも、コーポレートサイトなどで企業理念や経営ビジョンなどをチェックしておくことをお勧めします。
また、SaaSには「SaaS KPI」と呼ばれる評価指標があり、この指標に基づいて数値目標の達成を意識しながら仕事に取り組みます。
そのため、営業手法について面接で問われる可能性があります。
「KPIを軸にPDCAを回してきた」行動プロセルをしっかりと言語化できるようにと即答できるような方であれば、採用の可能性が一気に高まります。また、職務経歴書に「実績」を記載、アピールすることが大切です。
求められる知識やスキルは企業によって異なるので、求人情報に目を通した上でマッチしそうな「実績」を記載し、能力の高さをアピールしましょう。
記載例)
・年間売上実績〇〇万円(年間売上目標〇〇万円 達成率:〇〇%)10名中2位の実績
・成約件数実績●件(年間成約目標●件 達成率:〇〇%)全社平均成約数▲件
SaaS企業への転職は抑えるべきポイントがいくつかあるため、SaaS企業への転職に実績があるエージェントサービスの利用をおすすめします。
SaaS株価・資本環境はなぜ鈍化しているのか
2020〜2021年は、世界的な金融緩和とDX需要の急拡大により、SaaS企業のバリュエーション(企業価値評価)は異常値ともいえる水準まで上昇しました。
その後「金利上昇」「投資マネーの引き締め」「成長鈍化企業の増加」により、グロース株全体の株価が調整局面に入りました。
日本でも「Sansan株式会社」「freee株式会社」「マネーフォワード株式会社」などが一時的に株価調整を経験しています。
ただし重要なのは、「SaaSモデルが否定されたわけではない」という点です。
SaaSが終わったわけではない
市場が冷えたのは、ビジネスモデルの問題というよりも、「過剰評価の修正」です。SaaSは本質的に「ストック収益」「解約率(チャーン率)管理」「LTV(顧客生涯価値)設計」がしっかりしていれば、極めて安定的なビジネスです。
現在は“何でもSaaSなら上場できる時代”ではなくなり、「黒字化できるか」「ユニットエコノミクスが健全か」「プロダクトが本当に選ばれているか」が問われるフェーズです。
重要なのは“どのSaaS企業か”
SaaS転職で見るべき指標は以下です。
・ARR成長率
・解約率
・営業利益率
・調達資金とランウェイ
・競合優位性
これらを確認せずに「有名だから」「成長していそう」で入社すると、後悔する可能性があります。
SaaS業界への解像度が低い人ほど「領域特化の転職サービス」を推奨したい理由
SaaS業界への転職を考えたとき、実は多くの方が最初につまずくのが「業界理解の不足」です。SaaSという言葉は広く浸透しましたが、現場の採用は想像以上にシビアです。なぜなら、SaaSは“売り方”も“評価軸”も“仕事の型”も、従来の営業と異なる部分が多いからです。
例えば、同じ営業職でも、インサイドセールス・フィールドセールス・カスタマーサクセスで役割が分かれ、追うべきKPIも違います。SMBとエンタープライズでは商談設計も意思決定プロセスも別物です。さらに、プロダクトの単価や導入難易度、競合状況、チャーン(解約)耐性によって、求められる人物像も変わります。
この“違い”が分からないまま転職活動を始めると、求人選びの精度が落ちます。結果として、面接での受け答えが浅くなり、「SaaSを分かっていない」「志望動機が弱い」と判断されて見送られるケースが増えます。だからこそ、SaaS業界への解像度がまだ高くない方ほど、総合型エージェントだけで進めるのではなく、SaaS領域に特化した転職サービスを活用することを推奨します。
領域特化型は、求人の紹介だけが価値ではありません。「SaaS企業がどこを見ているのか」「このポジションはどんな勝ち方なのか」「その企業はどのフェーズで何を期待しているのか」など、求人票には書けない背景情報を前提に、キャリア設計や面接対策まで落とし込める点が強みです。解像度が上がることで、結果的にミスマッチを防ぎ、通過率も上がります。
SaaS営業は「共感できるプロダクトか」と「顧客課題につながるか」が超重要
SaaS業界で営業職を続ける上で、もう一つ大事な観点があります。それは「自分が共感できるプロダクトを扱えるか」「顧客課題に本当に繋がると信じられるか」です。
SaaS営業は、短期で売って終わりではありません。導入後に顧客が使いこなし、成果が出て、継続されて初めて“勝ち”になります。だからこそ、営業担当自身がプロダクトを理解し、価値を腹落ちさせていないと、提案が薄くなります。顧客の反論に耐えられず、価格競争に巻き込まれやすくなり、結果として成果も出にくくなります。
逆に、プロダクトに納得感があり、「この課題を解決できる」「この顧客の未来を良くできる」と思えると、営業の質が変わります。ヒアリングの深さも、提案の言葉も、クロージングの説得力も自然に強くなる。SaaS営業は、思っている以上に“信じられるものを売る仕事”です。
その意味で、企業選びの段階から、プロダクトの価値や顧客課題との接続を確認しておくことが重要です。単に「SaaSだから」「成長市場だから」「リモートできるから」という理由で選ぶと、入社後にギャップが出やすくなります。特に未経験者ほど、最初の2〜3年は修行期間になりやすいからこそ、興味を持って学び続けられる領域・プロダクトを選ぶことが、長期的な成長を左右します。
あとがき
SaaS業界への転職は、「伸びている市場だから」という理由だけで決めると、思った以上に苦しくなります。リモートやフレックスといった柔軟な働き方ができる一方で、成果で信頼を勝ち取り、セルフマネジメントで走り続けることが前提になるからです。自由度が高いほど、責任も重くなる。この現実を理解したうえで挑戦できる人ほど、SaaSで伸びます。
そしてもう一つ大切なのは、「どのSaaSでも同じではない」ということです。プロダクトの価値が自分の腹に落ちているか、顧客課題に本当に繋がると信じられるか。ここが曖昧だと、提案の言葉が弱くなり、価格競争に巻き込まれ、成果が出にくくなります。逆に、共感できるプロダクトを扱い、顧客の成功に向き合える環境に入れたとき、営業としての成長スピードは一気に上がります。
SaaSへの解像度がまだ高くない方ほど、領域に特化した転職サービスを活用し、情報の精度を上げることをおすすめします。職種(IS/FS/CS)の違い、企業フェーズの違い、評価される経験の翻訳まで、正しく整理できるだけで通過率もミスマッチも大きく変わります。
読者の皆様が、この記事を通じて少しでも転職やキャリアについて正しい知識を得られ、今後のステップを前向きに考えられるようになれば幸いです。転職活動は不安も多いものですが、しっかりと準備をし、自分自身の強みや希望を明確にすることで、次のステージに向かって大きな一歩を踏み出せるはずです。これからのキャリアが、皆様にとってより良いものとなることを心より願っています。
































