【五大法律事務所から転職】企業・民間・インハウスへの就職・転職についてプロがお伝えします
四大法律事務所とは?(五大法律事務所とは)
・西村あさひ法律事務所
・アンダーソン・毛利・友常法律事務所
・長島・大野・常松法律事務所
・森・濱田松本法律事務所
・TMI総合法律事務所
国内におよそ18,000以上ある法律事務所の中で、五大法律事務所とは、日本に存在する法律事務所の中で所属弁護士数の多い順上位5位までの大手法律事務所の総称です。
現在は、TMI総合法律事務所が規模を拡大してきたため、五大法律事務所と呼び方が変わってきました。
いずれも東京にメインの拠点を置く事務所ですが、それぞれにどのような特徴があるのか紹介しましょう。
西村あさひ法律事務所
現在国内最大手の法律事務所であり、所属する弁護士は600名を超えています。
弁護士以外に税理士や弁理士、法学者なども所属しており、金融関係から不動産取引、事業再生やM&Aまで幅広い業務で高い評価を得ています。
現在はアジアを中心に海外にまで事業を拡大しているほか、国内でも拠点を広げていて、東京を含め18の事務所を運営しています。
長島・大野・常松法律事務所
もともと渉外案件や企業の大型法務案件を扱っていた大手事務所と、国際証券と金融全般を扱っていた、渉外金融法務に強みを持っていたブティック事務所が合併してできた法律事務所です。
ニューヨークや上海のほか、主に東南アジアを中心に拠点を拡大しており、金融、キャピタル・マーケット、紛争解決などを中心に幅広い業務を扱っています。また、海外のビジネス法務を担当する渉外法務も得意としています。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
日本での国際法務の草分けとして、1950年代から運営してきた歴史ある法律事務所です。そのため現在も、海外の顧客との取引が多く、外資系企業からも高く評価されています。
業務はほぼすべての法律関連分野に及び、金融、キャピタル・マーケット、事業再生、M&Aなどを得意としています。やはり東南アジアを中心に、海外にも拠点を拡大しています。
森・濱田松本法律事務所
企業活動で求められる様々な法務をカバーし、専門担当者によりワンストップでクライアントの依頼に応えられる法律事務所です。
もともとは訴訟や倒産等の国内案件を中心としていた森綜合法律事務所が、規模拡大によって渉外法務にも業容を拡大し、その後、濱田松本法律事務所、マックス法律事務所との統合により、渉外金融法務や知的財産法務を拡充してきた事務所です。
ITやライフサイエンスなど、新しい分野での案件にも積極的に関わり、若手の育成にも力を入れています。
TMI総合法律事務所
近年急速に規模を拡大している法律事務所で、企業法務、金融、知的財産、危機管理などの業務に加えて、海事法や環境・エネルギー関連業務などにも対応しています。
大手事務所の知財部門出身弁護士、弁理士らによって設立されたという経緯もあり、知的財産関連案件に強みを持っており、弁理士も多数在籍しております。
国内には東京を含めて六つの拠点をもち、海外ではアジア、アメリカ、ヨーロッパなどに19の拠点を設けています。
五大法律事務所出身者は転職市場でも高い評価を受ける
業務内容は基本的に企業を対象としたリーガル・サービスであり、国境をまたがる渉外案件(クロスボーダー案件)も数多く扱っています。
取り扱う案件は専門性が高い大規模案件を中心としているため、業務難度の高さに加え、多数の弁護士や関係各所との連携が必要であり、業務のコントロールが難しいという点から、転職市場でも高い評価を受けます。
事務所に所属する弁護士は、まずは「アソシエイト」として採用され、特定のセクターへ専属となり、パートナーや先輩アソシエイトとチームアップして案件をこなし、弁護士としての基礎を築きます。
その後、実績やパートナーからの評価により個人差はありますが、おおよそ弁護士経験10年前後のタイミングで、法律事務所のパートナー(共同経営者)にプロモートされます。
業務内容は多岐にわたりますが、大企業から依頼される企業法務関連の案件が多く、特徴的な業務としては、メガディールのM&Aや、コーポレート案件など大手事務所でしか取り扱っていないような、ファイナンス案件などが挙げられます。
五大法律事務所で働くことは、法務に携わる者にとって非常に魅力的なステータスです。
国内で最高レベルの法律事務所で働くということは、ほかの法律事務所や法務関係者から一目置かれる存在です。
法律事務所からの転職ポイント
五大法律事務所からインハウスの法務への転職を考える際には、以下のポイントに注意が必要です。
業務範囲の違い
インハウスの法務は、特定の企業に所属し、その企業の法務業務を担当するため、業務範囲が狭くなる場合があります。
インハウスの法務と法律事務所の法務の仕事内容にはいくつかの違いがあります。
法律事務所の法務は、複数の企業やクライアントの法律案件を担当することが一般的です。一方、インハウスの法務は、特定の企業や組織に所属してその企業の法律業務を担当します。
つまり、法律事務所の法務は多岐にわたる案件に携わるのに対し、インハウスの法務は特定の企業の法務業務に特化しています。
インハウスの法務は企業の一員として、経営陣やビジネス部門と直接的な連携を取ることも多いため、自社にとってのビジネスチャンスを最大化しながらリスクを最小化することが求められます。
給与面
五大法律事務所は高給与が一般的ですが、インハウスの法務は事務所に比べて給与が低いことがあるため、給与面での不満が生じる可能性があります。
一方で、福利厚生やワークライフバランスの改善など、他の面でのメリットも考慮することが重要です。
法務の年収は、経験や職種、業界、地域などによって大きく異なりますが、一般的な目安として以下のような年収の範囲が考えられます。
【弁護士事務所】
以下一般的な法律事務所の平均年収です。
- 新人弁護士:400万円〜600万円
- 3年目〜5年目:800万円〜1000万円
- パートナー:1500万円〜3000万円以上
五大法律事務所は、以下のような水準ですので、インハウスへの転職は年収が下がるリスクがあります。
1年目 1,000万円~1,200万円
3年目 1,300万円~1,500万円
5年目 1,600万円~2,000万円以上
【インハウス法務】
- 新卒:400万円〜600万円
- 3年目〜5年目:600万円〜1000万円
- マネージャークラス:1000万円〜1500万円
- ディレクタークラス以上:1500万円〜3000万円以上
なお、これはあくまで一般的な目安であり、個々の事情や企業によって異なる場合があります。また、特に五大法律事務所からインハウスの転職の場合は、給与が変動する可能性がありますので、具体的な条件は個別に確認することが重要です。
五大法律事務所からの主な転職先
五大法律事務所からの主な転職先は、以下のようなものがあります。
大手企業の法務部門
五大法律事務所の経験を持つ弁護士は、大手企業の法務部門での転職が多いです。特に、国内外の大企業やグローバル企業での法務業務を担当するポジションがあります。
金融機関
銀行や証券会社、保険会社など、金融機関の法務部門での転職も多いです。金融業界では様々な法律問題が発生するため、五大法律事務所の経験が重要とされます。
プライベートエクイティ(PE)ファンドやベンチャーキャピタルなどの法務職も増えています。M&Aや投資関連の案件を担当することが多いため、法務事務所にて経験を積むことでより選択肢を広げることができます。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームの法務部門、法律の観点で企業を支援するコンサルティングファームへの転職も増えています。新規事業や海外展開をする上での法的リスクを含めた戦略的なアドバイザリー業務やコンプライアンス関連の案件に従事することがあります。
国際機関・NGO
国際機関や非政府組織(NGO)の法務部門での転職も一部の弁護士に人気があります。国際的な問題に携わる機会が増えます。
これらの転職先は一般的な例であり、個々の経歴や希望によって異なる場合があります。
五大法律事務所からの転職はプロを有効活用する
五大法律事務所からインハウスへの転職では「民間企業での勤務経験」がないことでお見送りになる可能性があります。
弁護士先生であれば、転職支援のプロに依頼することをお勧めします。
年収も高いことから「副業」や「業務委託」といった形の働き方もあります。正社員としての案件が多いですが、弁護士からの転職にに強みがあるサービスを複数利用することで可能性が広がります。
弁護士支援に特化した「弁護士ドットコムキャリア」、ハイクラス転職サービス「ビズリーチ」、士業転職に強みがある「MS-Japan」、外資系を含む企業法務に定評がある「JACリクルートメント」の4つは利用されることをおすすめします。
※弁護士ドットコムのサービスを複数利用されている弁護士先生も多いとは思いますが、転職活動がバレることはないため安心して活用ください。
五大法律事務所の経験は、様々な業界や分野で活躍することができるため、幅広い転職先があります。
ぜひプロに相談をし進めていただければ幸いです。
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五大法律事務所へ転職をしたい
以下コンテンツでは、五大法律事務所に興味がある方向けとなります。
法律事務所の年収は?
五大法律事務所は、激務ではあるものの就職後の待遇はほかの法律事務所よりもよく、入所1年目から1,000万円以上に達します。
通常の法律事務所だと500~600万円前後が相場ですから、かなり高額です。
この給与水準は五大法律事務所で大差ないといわれており、2,3年目以降は歩合制となるケースもあるため、一概には言えませんが、入所3年目で1,500万円、入所5年目で2,000万円に達することも十分に可能です。
アソシエイトを経てパートナーとなった場合、報酬は億を超えるケースも多く、その後も自身の努力次第で上げていくことが可能ですので、パートナー間でも数億円単位の報酬差があったりもします。
五大法律事務所はそもそも就職すること自体が難しく、同じ弁護士でもロースクールでトップクラスの成績を取っていた人など、エリート中のエリートでなければ基本的に入所が難しいとされています。
入所後もハードワークであり、また結果を出し続けることが求められますが、日本で最高峰の事務所で弁護士として働ける充実感や、これまでの努力に見合った報酬が得られるでしょう。
五大法律事務所に転職するには?
先の待遇面で見た通り、四大法律事務所の年収は初任給であっても1,000万円を超えるなど、待遇面では日本トップクラスです。
しかし入所が難関であるのも事実で、時間をかけてほかの法律事務所で経験を積んでも、中途採用の選考に合格するのは難しいのが現状といえます。
ただ、もしキャリア志向で将来的に五大法律事務所に転職を考えているのなら、いわゆる「ブティック系法律事務所」で実力をつけるというのが一つの方法です。
ブティック系法律事務所とは、企業法務における知的財産、倒産などの特定の分野に強みをもつ専門性の高い法律事務所のことで、得意分野におけるクオリティの高さは業界でも定評があります。
ブティック系法律事務所で、まずはこうした事務所で経験と実力、実績を積み、その後に四大法律事務所への転職に挑戦すると、入所できるチャンスが高まるでしょう。
五大法律事務所に転職するには出身大学が重要?
五大法律事務所に転職するためには、実績や資格以外に出身大学も重視されます。
まずは東京大学、京都大学、一橋大学、早稲田大学、慶應義塾大学などの超難関大学の出身者がその代表です。
さらに法科大学院でも、超難関大学のロースクール出身者が四大法律事務所には多く在籍しています。
これは事務所側が出身大学をえり好みしているということではなく、業務上の知識やスキルを身につけるために必要な、一定以上の学歴を参考にしているということでしょう。
各事務所在籍者の出身大学には特徴が見られ、アンダーソン・毛利・友常法律事務所では東大出身者がおよそ半数を占めています。
西村あさひ法律事務所、長嶋・大野・常松法律事務所、森・濱田松本法律事務所の3事務所は、東大出身者に偏ってはいませんが、東大、早稲田、慶應の3校出身者がやはり半数以上を占めています。(単純に学生数の比率や立地の関係もありますので、一橋や京大出身者が少ないというわけではありません。)
一方でTMI総合法律事務所の人員構成には異なる特徴があり、ほかの事務所のように特定の大学出身者による寡占状態が進んでいません。
超難関大学出身者が多いのは間違いないものの、比較的バランスよく出身大学が分散されています。
ただし、転職には超難関大学の肩書きが必ず求められるわけではありません。
どの法律事務所も、予備試験合格者の採用が全体のかなりの割合を占めています。
予備試験と司法試験を上位の成績で通過できれば、出身大学にかかわらず採用される確率が高くなるようです。
四大法律事務所への就職難易度
四大法律事務所への就職難易度四大法律事務所への就職難易度は非常に高いといえます。前述の通り、各事務所の在籍者は難関大学出身者が占める割合が高く、大学時点での学力が重要です。
しかし、難関大学出身でないと就職ができないわけではありません。予備試験や司法試験の上位合格や、ブティック系法律事務所で実務経験などがあれば、可能性をあげることができるでしょう。
また、英語(TOEIC800点以上)や中国語、スペイン語の語学力など、付加価値を高めることも重要です。
ただし、上記の条件を満たしても必ず就職できるわけではなく、選考における面接内容も重要な評価対象となります。
弁護士は正義感や責任感、向上心などの人間性が求められる職業であるということを理解しておきましょう。
五大法律事務所の中でどこが一番いいのか?
五大法律事務所では共通して、特定分野に特化することなく、多岐にわたる法務領域をカバーしております。
とはいえ、もともと得意にしていた分野があり、事務所の個性もあるため、転職を目指す場合には自分に合った事務所を選ぶ必要があるでしょう。
結論から言うと、事務所ごとに甲乙をつけることは難しいと言えます。
事務所においては分野ごとにチームが分かれているということもあり、そのセクターのパートナー主導で採用が行われることも多く、セクターによっても雰囲気や所属している弁護士の人柄なども違うことは往々にしてあります。
弁護士先生の配属ガチャも存在しますし、成長を感じられないことも多いかもしれません。大きなプロジェクトを経験するためには、運と実力が必要になります。
採用枠は少ないですが「第二新卒」として採用を実施していることがあります。
大手事務所の中途採用は、時々に応じてニーズも流動的である傾向があるため、ご転職をお考えの際は、エージェントに相談するなど、そのタイミングでの事務所の採用ニーズなどを情報収集しながら、実際に面接で話を聞き、自身に合うと思える事務所を選択する必要があるでしょう。
まとめ
五大法律事務所は激務ですが、それに見合った好待遇で働けるという点は大きな魅力です。業務内容の責任の大きさや年収の高さ、選考基準の厳しさから考えると、五大法律事務所で働くことは、弁護士の憧れ、目標となる部分があるといえます。
ただ、組織規模が大きいので、自分の希望通りの業務ができないケースも考えられ、キャリア形成のあり方も組織の方針に沿ったものになる恐れもあります。
入所を検討する場合、その点は前もって理解しておく必要があるでしょう。それでも五大法律事務所で働くことは、弁護士にとっては一種のステータスになります。
五大法律事務所へ転職を希望する場合は案件があり、弁護士メディアをもつ上場企業の「弁護士ドットコムキャリア」もしくはインハウスの転職に強みがある「MS-Japan」の利用をおすすめします。