【五大法律事務所から転職】企業・民間・インハウスへの就職・転職についてプロがお伝えします
五大法律事務所で弁護士として働いている方の中には、「このまま法律事務所でキャリアを積み続けるべきか」「企業法務部やインハウスローヤーへ転職できるのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
五大法律事務所では、M&A、ファイナンス、訴訟、独占禁止法、労働法、知的財産、国際取引、危機管理など、高度な企業法務案件に関わる機会が多く、若手のうちから専門性の高い経験を積むことができます。一方で、長時間労働や高い成果要求、パートナー昇進への競争、今後の働き方への不安から、民間企業・事業会社・インハウスへの転職を考える方も少なくありません。
近年は、上場企業、スタートアップ、外資系企業、金融機関、商社、メーカー、IT企業などで企業内弁護士の採用ニーズが高まっています。コンプライアンス、ガバナンス、M&A、個人情報保護、労務、知財、海外法務、新規事業に関する法務支援など、企業内で弁護士が求められる領域は広がっています。
ただし、五大法律事務所からインハウスへ転職する場合、必ずしも年収やキャリアがそのまま維持されるとは限りません。特に高年収層の場合、事業会社へ転職することで年収が下がる可能性があります。また、法律事務所では専門性の高さが評価されやすい一方、企業内ではビジネス理解、社内調整力、経営視点、事業部門とのコミュニケーション力も重視されます。
本記事では、五大法律事務所から企業・民間・インハウスへ転職を考えている方に向けて、主な転職先、転職難易度、年収の考え方、評価される経験、面接対策、転職時の注意点について、転職支援のプロの視点から解説します。
「法律事務所に残るべきか」「インハウスへ転職すべきか」「自分の経験がどの企業で評価されるのか」と悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
四大法律事務所とは?(五大法律事務所とは)
・西村あさひ法律事務所
・アンダーソン・毛利・友常法律事務所
・長島・大野・常松法律事務所
・森・濱田松本法律事務所
・TMI総合法律事務所
国内におよそ18,000以上ある法律事務所の中で、五大法律事務所とは、日本に存在する法律事務所の中で所属弁護士数の多い順上位5位までの大手法律事務所の総称です。
現在は、TMI総合法律事務所が規模を拡大してきたため、五大法律事務所と呼び方が変わってきました。
いずれも東京にメインの拠点を置く事務所ですが、それぞれにどのような特徴があるのか紹介しましょう。
西村あさひ法律事務所
現在国内最大手の法律事務所であり、所属する弁護士は600名を超えています。
弁護士以外に税理士や弁理士、法学者なども所属しており、金融関係から不動産取引、事業再生やM&Aまで幅広い業務で高い評価を得ています。
現在はアジアを中心に海外にまで事業を拡大しているほか、国内でも拠点を広げていて、東京を含め18の事務所を運営しています。
長島・大野・常松法律事務所
もともと渉外案件や企業の大型法務案件を扱っていた大手事務所と、国際証券と金融全般を扱っていた、渉外金融法務に強みを持っていたブティック事務所が合併してできた法律事務所です。
ニューヨークや上海のほか、主に東南アジアを中心に拠点を拡大しており、金融、キャピタル・マーケット、紛争解決などを中心に幅広い業務を扱っています。また、海外のビジネス法務を担当する渉外法務も得意としています。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所
日本での国際法務の草分けとして、1950年代から運営してきた歴史ある法律事務所です。そのため現在も、海外の顧客との取引が多く、外資系企業からも高く評価されています。
業務はほぼすべての法律関連分野に及び、金融、キャピタル・マーケット、事業再生、M&Aなどを得意としています。やはり東南アジアを中心に、海外にも拠点を拡大しています。
森・濱田松本法律事務所
企業活動で求められる様々な法務をカバーし、専門担当者によりワンストップでクライアントの依頼に応えられる法律事務所です。
もともとは訴訟や倒産等の国内案件を中心としていた森綜合法律事務所が、規模拡大によって渉外法務にも業容を拡大し、その後、濱田松本法律事務所、マックス法律事務所との統合により、渉外金融法務や知的財産法務を拡充してきた事務所です。
ITやライフサイエンスなど、新しい分野での案件にも積極的に関わり、若手の育成にも力を入れています。
TMI総合法律事務所
近年急速に規模を拡大している法律事務所で、企業法務、金融、知的財産、危機管理などの業務に加えて、海事法や環境・エネルギー関連業務などにも対応しています。
大手事務所の知財部門出身弁護士、弁理士らによって設立されたという経緯もあり、知的財産関連案件に強みを持っており、弁理士も多数在籍しております。
国内には東京を含めて六つの拠点をもち、海外ではアジア、アメリカ、ヨーロッパなどに19の拠点を設けています。
五大法律事務所からの主な転職理由
五大法律事務所から企業・民間・インハウスへ転職を考える理由は、人によって異なります。代表的な理由を整理すると、以下のようになります。
| 転職理由 | 背景 | 転職時の注意点 |
|---|---|---|
| 働き方を見直したい | 長時間労働や繁忙期の負荷が大きく、将来も同じ働き方を続けられるか不安になる | インハウスでも繁忙期や緊急対応はあるため、企業ごとの働き方を確認する必要がある |
| 事業に近い立場で働きたい | 法律論だけでなく、経営判断や事業成長に近い場所で法務経験を活かしたい | 企業内では法的正しさだけでなく、ビジネスを前に進める姿勢が求められる |
| 年収やキャリアの将来性を見直したい | パートナーを目指すべきか、別のキャリアを選ぶべきか悩む | インハウス転職では年収が下がるケースもあるため、中長期のキャリア設計が重要 |
| 専門性の幅を広げたい | 法律事務所では特定分野に寄りやすく、企業法務全体を経験したい | 企業法務部では契約法務、株主総会、労務、コンプライアンスなど幅広い対応が求められる |
| ワークライフバランスを改善したい | 家庭、健康、ライフイベントを踏まえ、持続可能な働き方を求める | 年収・裁量・仕事内容とのバランスを見極める必要がある |
| マネジメントや経営に関わりたい | 将来的に法務責任者、CLO、管理部門責任者などを目指したい | 早期に法務組織のマネジメント経験を積める企業を選ぶ必要がある |
五大法律事務所からの転職理由は、単なるネガティブな理由だけではありません。むしろ、「より事業に近い場所で法務経験を活かしたい」「将来的に法務責任者や経営に関わるポジションを目指したい」という前向きな理由でインハウスを検討する方も多いです。
五大法律事務所出身者の主な転職先
五大法律事務所出身者の転職先としては、企業法務部、外資系企業、金融機関、商社、メーカー、IT企業、スタートアップ、別の法律事務所などが挙げられます。
| 転職先 | 特徴 | 向いている人 |
| 大手事業会社の法務部 | 契約法務、コンプライアンス、ガバナンス、M&A、株主総会対応など幅広い業務を担当 | 安定した環境で企業法務全般に関わりたい人 |
| 外資系企業の法務部 | 英語力やグローバル案件対応が求められやすい | 英語を使った法務、海外本社との連携に強い人 |
| 金融機関・ファンド | ファイナンス、金融規制、M&A、投資関連の知識が活かされやすい | 金融法務やファイナンス案件の経験がある人 |
| 商社・メーカー | 海外取引、契約法務、コンプライアンス、事業部支援が中心 | 海外案件や事業部との連携に関心がある人 |
| IT・Web企業 | 個人情報保護、AI、データ、SaaS、新規事業、知財などの法務ニーズが高い | 変化の速い事業環境で法務経験を活かしたい人 |
| スタートアップ・ベンチャー | 法務体制の構築、資金調達、IPO準備、労務、規程整備などに関わる | 裁量を持って法務組織を作りたい人 |
| 別の法律事務所 | 専門性を活かしつつ、働き方やカルチャーを変えられる | 法律事務所でのキャリアを継続したい人 |
| コンサルティングファーム・FAS | M&A、ガバナンス、リスク、コンプライアンス領域で法務知識を活かせる | 法務に加えてビジネス・経営支援にも関わりたい人 |
五大法律事務所出身者の場合、選択肢は比較的広いです。ただし、どの転職先が合うかは、現在の専門分野や今後のキャリア志向によって大きく変わります。
たとえば、M&Aやコーポレート案件の経験が豊富な方は、大手事業会社、商社、スタートアップ、PEファンド、FASなどと相性が良い場合があります。一方で、個人情報保護、データ、IT、知財、労務などに強みがある方は、IT企業やSaaS企業、メガベンチャーの法務ポジションで評価されやすいでしょう。
五大法律事務所出身者は転職市場でも高い評価を受ける

業務内容は基本的に企業を対象としたリーガル・サービスであり、国境をまたがる渉外案件(クロスボーダー案件)も数多く扱っています。
取り扱う案件は専門性が高い大規模案件を中心としているため、業務難度の高さに加え、多数の弁護士や関係各所との連携が必要であり、業務のコントロールが難しいという点から、転職市場でも高い評価を受けます。
事務所に所属する弁護士は、まずは「アソシエイト」として採用され、特定のセクターへ専属となり、パートナーや先輩アソシエイトとチームアップして案件をこなし、弁護士としての基礎を築きます。
その後、実績やパートナーからの評価により個人差はありますが、おおよそ弁護士経験10年前後のタイミングで、法律事務所のパートナー(共同経営者)にプロモートされます。
業務内容は多岐にわたりますが、大企業から依頼される企業法務関連の案件が多く、特徴的な業務としては、メガディールのM&Aや、コーポレート案件など大手事務所でしか取り扱っていないような、ファイナンス案件などが挙げられます。
五大法律事務所で働くことは、法務に携わる者にとって非常に魅力的なステータスです。
国内で最高レベルの法律事務所で働くということは、ほかの法律事務所や法務関係者から一目置かれる存在です。
法律事務所からの転職ポイント
五大法律事務所からインハウスの法務への転職を考える際には、以下のポイントに注意が必要です。
業務範囲の違い
インハウスの法務は、特定の企業に所属し、その企業の法務業務を担当するため、業務範囲が狭くなる場合があります。
インハウスの法務と法律事務所の法務の仕事内容にはいくつかの違いがあります。
法律事務所の法務は、複数の企業やクライアントの法律案件を担当することが一般的です。一方、インハウスの法務は、特定の企業や組織に所属してその企業の法律業務を担当します。
つまり、法律事務所の法務は多岐にわたる案件に携わるのに対し、インハウスの法務は特定の企業の法務業務に特化しています。
インハウスの法務は企業の一員として、経営陣やビジネス部門と直接的な連携を取ることも多いため、自社にとってのビジネスチャンスを最大化しながらリスクを最小化することが求められます。
給与面
五大法律事務所は高給与が一般的ですが、インハウスの法務は事務所に比べて給与が低いことがあるため、給与面での不満が生じる可能性があります。
一方で、福利厚生やワークライフバランスの改善など、他の面でのメリットも考慮することが重要です。
法務の年収は、経験や職種、業界、地域などによって大きく異なりますが、一般的な目安として以下のような年収の範囲が考えられます。
【弁護士事務所】
以下一般的な法律事務所の平均年収です。
- 新人弁護士:400万円〜600万円
- 3年目〜5年目:800万円〜1000万円
- パートナー:1500万円〜3000万円以上
五大法律事務所は、以下のような水準ですので、インハウスへの転職は年収が下がるリスクがあります。
1年目 1,000万円~1,200万円
3年目 1,300万円~1,500万円
5年目 1,600万円~2,000万円以上

【インハウス法務】
- 新卒:400万円〜600万円
- 3年目〜5年目:600万円〜1000万円
- マネージャークラス:1000万円〜1500万円
- ディレクタークラス以上:1500万円〜3000万円以上
なお、これはあくまで一般的な目安であり、個々の事情や企業によって異なる場合があります。また、特に五大法律事務所からインハウスの転職の場合は、給与が変動する可能性がありますので、具体的な条件は個別に確認することが重要です。
五大法律事務所からインハウスへ転職する難易度
五大法律事務所からインハウスへの転職難易度は、一般的には低くありません。ただし、五大法律事務所での経験は非常に高く評価されるため、企業側のニーズと合えば有利に進むケースもあります。
難易度を左右するポイントは、主に以下の5つです。
| 判断軸 | 見られるポイント |
| 年齢・修習期 | 若手はポテンシャルも見られやすいが、シニアになるほど即戦力性やマネジメント経験が求められる |
| 専門分野 | M&A、ファイナンス、労務、知財、個人情報保護、海外法務など、企業の課題と合うか |
| 年収水準 | 法律事務所での年収が高いほど、企業側の提示年収とのギャップが生じやすい |
| ビジネス理解 | 法的リスクを指摘するだけでなく、事業を前に進める姿勢があるか |
| コミュニケーション力 | 事業部、経営陣、管理部門、外部専門家と協働できるか |
特に注意したいのは、企業内法務では「法律に詳しい人」だけではなく、「事業に寄り添える法務人材」が求められる点です。
法律事務所では、依頼者に対して専門的な法的助言を行う立場ですが、インハウスでは社内の事業部門や経営陣と同じ組織の一員として、ビジネスを理解しながらリスクをコントロールする必要があります。
そのため、面接では「どのような法的論点を扱ってきたか」だけでなく、「事業側とどのようにコミュニケーションを取り、意思決定を支援できるか」が見られます。
五大法律事務所出身者がインハウス転職で評価される経験
五大法律事務所出身者がインハウス転職で評価されやすい経験には、いくつかの共通点があります。
まず評価されやすいのは、企業の経営課題に直結する法務経験です。M&A、ファイナンス、コーポレートガバナンス、コンプライアンス、海外法務、個人情報保護、知的財産、労務、訴訟対応などは、企業側のニーズが高い領域です。
また、単に案件に関わっただけでなく、どのような立場で、どのような論点を担当し、どのようにクライアントの意思決定を支援したのかまで説明できると評価されやすくなります。
| 評価されやすい経験 | 企業側が見ているポイント |
| M&A・組織再編 | 事業成長、買収、PMI、グループ再編に関われるか |
| ファイナンス | 金融機関、ファンド、上場企業での専門性を活かせるか |
| コーポレートガバナンス | 取締役会、株主総会、内部統制、上場企業対応に強いか |
| コンプライアンス・危機管理 | 不祥事対応、内部通報、調査、再発防止策に関われるか |
| 労務 | 人事労務、労働紛争、制度設計、組織課題に対応できるか |
| 知財・データ・個人情報保護 | IT、SaaS、AI、プラットフォーム企業で活かせるか |
| 海外法務 | 英文契約、海外子会社管理、クロスボーダー案件に対応できるか |
| 訴訟・紛争対応 | 係争リスクを整理し、外部弁護士と連携できるか |
五大法律事務所での経験は、それ自体が強いブランドになります。ただし、インハウス転職では「どの事業会社で、どの課題解決に活かせるのか」まで言語化することが重要です。
五大法律事務所からの転職はプロを有効活用する
五大法律事務所からインハウスへの転職では「民間企業での勤務経験」がないことでお見送りになる可能性があります。
弁護士先生であれば、転職支援のプロに依頼することをお勧めします。
年収も高いことから「副業」や「業務委託」といった形の働き方もあります。正社員としての案件が多いですが、弁護士からの転職にに強みがあるサービスを複数利用することで可能性が広がります。

弁護士支援に特化した「弁護士ドットコムキャリア」、ハイクラス転職サービス「ビズリーチ」、士業転職に強みがある「MS-Japan」、外資系を含む企業法務に定評がある「JACリクルートメント」の4つは利用されることをおすすめします。
※弁護士ドットコムのサービスを複数利用されている弁護士先生も多いとは思いますが、転職活動がバレることはないため安心して活用ください。
五大法律事務所の経験は、様々な業界や分野で活躍することができるため、幅広い転職先があります。
ぜひプロに相談をし進めていただければ幸いです。
事業会社での法務・インハウスの転職はMS-Japanがおすすめ
五大法律事務所から事業会社の法務部門やインハウスローヤーへ転職を考える場合、MS-Japanも相談先として検討しやすい転職エージェントです。
MS-Japanは、経理・人事・法務などの管理部門と、弁護士・公認会計士・税理士などの士業領域に特化した転職支援を行っています。一般的な総合型転職エージェントと異なり、企業の法務部門、弁護士、管理部門求人に強みがあるため、事業会社の法務・インハウス転職を考える方と相性が良いサービスです。
特に五大法律事務所出身者の場合、転職先としては大手事業会社、外資系企業、金融機関、商社、メーカー、IT企業、SaaS企業、スタートアップ、IPO準備企業などが候補になります。しかし、求人票だけを見ても「自分の経験が評価されるのか」「年収をどこまで維持できるのか」「企業法務部でどのような役割を期待されるのか」は判断しにくいものです。
MS-Japanは法務・弁護士領域の求人を扱っているため、企業ごとの法務組織の体制や、求められる経験、想定年収、働き方などを確認しながら転職活動を進めやすい点が魅力です。
また、インハウス転職では、法律事務所での専門性だけでなく、事業理解、社内調整力、経営陣とのコミュニケーション力、リスクを踏まえた実務推進力も見られます。そのため、五大法律事務所での経験をそのまま伝えるのではなく、「企業側が評価しやすい職務経歴書・面接回答」に変換することが重要です。
事業会社の法務・インハウス転職を検討している方は、MS-Japanのような管理部門・士業特化型の転職エージェントに相談し、自分の経験がどの企業・ポジションで評価されるのかを確認してみるとよいでしょう。
法務の転職なら【MS-Japan】

法務を含む管理部門・バックオフィスに特化した人材紹介会社です。上場企業のため、他社にはない案件も複数あります。
面接で見られるポイント
五大法律事務所から企業・民間・インハウスへ転職する際の面接では、法律事務所での実績だけでなく、企業内で活躍できるかが見られます。
よく聞かれる質問には、以下のようなものがあります。
| 質問例 | 企業側が見ているポイント |
| なぜ法律事務所ではなく、インハウスを希望するのですか? | 転職理由の納得感、企業内で働く覚悟 |
| なぜ当社を志望するのですか? | 事業理解、企業への関心、法務課題との接続 |
| これまでどのような案件を担当してきましたか? | 専門性、担当範囲、再現性 |
| 事業部門とどのように連携できますか? | コミュニケーション力、社内調整力 |
| 法的リスクとビジネス判断が衝突した場合、どう対応しますか? | リスク判断力、実務バランス |
| 年収が下がる可能性がありますが、どう考えていますか? | 転職の本気度、キャリアの優先順位 |
| 将来的にどのような法務キャリアを目指していますか? | 中長期のキャリアビジョン |
面接対策で重要なのは、「なぜインハウスなのか」を明確にすることです。
「働き方を改善したい」という理由だけでは、企業側から見るとやや弱く見えることがあります。もちろん働き方は重要ですが、それに加えて、「事業に近い立場で法務経験を活かしたい」「経営判断に関わる法務人材になりたい」「企業の成長を法務面から支えたい」といった前向きな理由を伝えることが大切です。
志望動機の作り方
五大法律事務所からインハウスへ転職する際の志望動機では、以下の3点を整理すると伝わりやすくなります。
| 整理すべきポイント | 内容 |
| これまでの経験 | 法律事務所でどのような案件・論点・クライアントを担当してきたか |
| 転職理由 | なぜ法律事務所ではなく、企業内で働きたいのか |
| 応募企業への貢献 | その企業の事業や法務課題に、自分の経験をどう活かせるのか |
たとえば、M&Aやコーポレート案件の経験がある方であれば、「これまで外部弁護士として企業の重要な意思決定を支援してきた経験を、今後は企業内部の立場から継続的に事業成長へ活かしたい」という伝え方ができます。
個人情報保護やデータ関連の経験がある方であれば、「AIやデータ活用が進む中で、法的リスクを整理しながら新規事業を前に進める法務機能に貢献したい」という方向性が考えられます。
重要なのは、法律事務所での経験をそのまま話すのではなく、応募企業の事業課題や法務ニーズに接続して伝えることです。
職務経歴書でアピールすべきポイント
五大法律事務所出身者の職務経歴書では、所属事務所名だけで一定の注目は得られます。しかし、それだけでは十分ではありません。
企業側が知りたいのは、具体的にどのような案件を担当し、どのような役割を担い、入社後にどのように活躍できるかです。
職務経歴書では、以下のような点を整理しましょう。
| 項目 | 書くべき内容 |
| 取扱分野 | M&A、ファイナンス、労務、知財、訴訟、海外法務、個人情報保護など |
| 案件規模 | 上場企業、大手企業、外資系企業、クロスボーダー案件など |
| 担当範囲 | 契約書作成、DD、交渉支援、法的調査、意見書作成、クライアント対応など |
| 実績 | 案件数、関与したプロジェクト、改善した業務、リスク低減への貢献 |
| ビジネス理解 | 企業の意思決定や事業推進をどのように支援したか |
| 英語力 | 英文契約、海外案件、海外拠点とのやり取り、TOEIC等のスコア |
守秘義務の関係で詳細を書けない案件も多いはずです。その場合は、企業名や案件名を伏せたうえで、業界、案件類型、担当した論点、役割を整理するとよいでしょう。
五大法律事務所からの転職で大切なのは「市場価値の見極め」
五大法律事務所での経験は、転職市場において大きな強みです。
しかし、企業・民間・インハウスへの転職では、法律事務所での評価軸と企業内での評価軸が異なります。高度な法的専門性に加えて、ビジネス理解、社内調整力、経営視点、事業部門との協働力が求められます。
また、年収、働き方、裁量、専門性、将来のキャリアパスのどれを優先するかによって、選ぶべき企業は変わります。
五大法律事務所から転職すべきか迷っている方は、まずは自分の市場価値を正しく把握することが重要です。今の経験がどの企業で評価されるのか、年収をどこまで維持できるのか、インハウスに移ることでどのようなキャリアが開けるのかを整理したうえで、納得感のある選択をしましょう。
まとめ
五大法律事務所は激務ですが、それに見合った好待遇で働けるという点は大きな魅力です。業務内容の責任の大きさや年収の高さ、選考基準の厳しさから考えると、五大法律事務所で働くことは、弁護士の憧れ、目標となる部分があるといえます。
ただ、組織規模が大きいので、自分の希望通りの業務ができないケースも考えられ、キャリア形成のあり方も組織の方針に沿ったものになる恐れもあります。
入所を検討する場合、その点は前もって理解しておく必要があるでしょう。それでも五大法律事務所で働くことは、弁護士にとっては一種のステータスになります。
五大法律事務所から企業・民間・インハウスへ転職することは十分に可能です。むしろ、企業法務の高度化やガバナンス強化、新規事業・海外展開・M&A対応の増加により、五大法律事務所で培った専門性を求める企業は増えています。
一方で、インハウス転職は「法律事務所での経験があるから簡単に転職できる」というものではありません。企業側が見ているのは、単なる法的専門性だけではなく、事業に寄り添えるか、社内関係者と協働できるか、リスクを指摘するだけでなくビジネスを前に進められるかという点です。
また、五大法律事務所からの転職では、年収が大きな論点になります。法律事務所で高い報酬を得ている方ほど、事業会社へ移る際に年収が下がる可能性があります。そのため、目先の年収だけでなく、働き方、裁量、将来的なキャリア、CLO・法務責任者・経営管理部門へのキャリアパスまで含めて判断することが重要です。
特に、若手アソシエイトであれば、企業法務部、外資系企業、スタートアップ、金融、IT、メーカーなど幅広い選択肢を検討しやすい傾向があります。一方で、シニアアソシエイト以上になると、専門性の深さやマネジメント経験、企業側のポジションとのフィットがより重要になります。
五大法律事務所での経験は、転職市場において大きな強みになります。ただし、その強みをどの企業・どのポジションで最も高く評価してもらえるかは、人によって異なります。
インハウスへ転職すべきか、法律事務所に残るべきか、あるいは別の法律事務所へ移るべきか迷っている方は、まずは弁護士・法務領域に詳しい転職の専門家へ相談し、自分の市場価値や現実的な選択肢を整理してみましょう。


























