【未経験から事業企画に転職できる?】年収相場や求められる経験を解説

筆者はこれまで、事業会社にて新規事業開発や経営企画部門を経験後、4000人以上のキャリア支援を行ってきた転職エージェントです。自身も中途で事業企画へ転職した経験があり、面接で問われる内容や、未経験者のつまずきやすいポイントを熟知しています。本記事では、リアルな転職事情と、転職後に求められるスキル・役割について、実例ベースで徹底解説します。
結論:事業企画職は「企画職ではなく、経営の左腕」
まず誤解されやすいのが「事業企画=企画を考える仕事」というイメージ。実際には、事業数値の設計・市場調査・戦略立案・実行支援・レポーティングなど、経営層に近い立ち位置で事業全体の推進を担う仕事です。
ExcelやPowerPointのスキルだけでは不十分で、マーケティング、会計、組織、ITなど広範なビジネス理解が求められます。
未経験から事業企画に転職するには?
「事業企画 転職理由」や「未経験 転職」で検索する方が多いように、事業企画職は人気の高い職種です。一方で、企業側の期待値も高く、未経験での転職は決して簡単ではありません。特に「事業企画 転職先」や「事業企画 経験 転職」などで情報収集をしている方は、自分の経歴が通用するかどうかを知りたい方が多いのではないでしょうか。
まず未経験からの転職における年収相場ですが、400万〜550万円程度が一般的です。ただし、これは大手企業の正社員ポジションにおいて「ポテンシャル採用」で入る場合の目安であり、コンサルやマーケ職などのビジネス経験がある方に限られます。
企業が求める「即戦力」としての事業企画職の場合、以下のような具体的な経験があると強みになります。
- 戦略コンサルティングファームでの実務経験(目安3年以上)
- 事業会社での経営企画・新規事業立ち上げの経験
- スタートアップやベンチャー企業での事業立案〜実行までの経験
コンサルティングファームに限らず、0→1フェーズの立ち上げや、プロダクト開発に携わった経験があると非常に評価される場合があり、転職先と親和性がある場合は800万円以上のオファーも珍しくありません。
外資系の事業企画は?
「海外事業企画 転職」の場合、ビジネス英語スキル(TOEIC800点以上)や、海外拠点の立ち上げ経験、海外市場リサーチ・現地法人との調整経験などが求められます。外資系やグローバル企業では、M&AやPMI(買収後の統合作業)に関する知見があるとより歓迎される傾向です。
事業企画職は「誰でもできそうなイメージ」がある一方で、企業から見ると「再現性のある実績」が求められるポジションです。「なぜ自分が事業企画をやりたいのか」「何を活かして企業に貢献できるのか」を具体的に説明できるよう、準備をしておくことが重要です。
事業企画の主な業務内容とは?
事業企画職は企業規模や業態により役割が異なりますが、代表的な業務は以下の通りです。
- 市場・競合調査(リサーチ)
- 事業計画の立案・KPI設計
- 新規事業の検討・起案
- 収支シミュレーションやPL作成
- 経営層向けレポート作成
- 各部門との連携(マーケ、営業、開発など)
中でも重要なのは「他部門を巻き込み、成果にコミットする力」。机上のアイデアだけでなく、いかに現場を動かせるかがカギです。
「事業企画 転職理由」はどう説明すべき?
事業企画に転職する理由を伝える際は、「なぜ今なのか」「どのような価値を提供できるのか」が重要です。
「より経営に近い立場で事業推進に関わりたい」「自身の分析力や推進力を事業成長に活かしたい」など、前向きで再現性のある理由が望まれます。単なる「成長したい」「裁量を持ちたい」だけでは弱いため、具体性を持たせましょう。
転職理由は人それぞれであり、転職先の企業で求められるスキル経験にも違いがあります。伝え方に不安がある方は転職エージェントに壁打ちしてもらうのも1つですね。

「新規事業企画 転職」「海外事業企画 転職」も人気に
海外事業を担当するグローバル企業や、スタートアップでの新規事業企画ポジションも人気です。これらの求人では、語学力(TOEIC800以上)やクロスボーダーでの交渉経験、0→1のビジネス開発経験などが問われます。該当経験がある方は、キャリアの幅が大きく広がります。
大手求人サイト(リクルート転職、マイナビ転職)では、幅広い事業企画ポジションが掲載されていますが、非公開求人や年収800万円以上のハイクラス求人は少なめです。条件に合致する高年収・高ポジションを狙いたい場合は、ビズリーチやアサインなどのスカウト型や特化型エージェントの活用がおすすめです。
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事業企画と経営企画の違いとは
事業企画と経営企画は、それぞれ異なる目的を持った企画です。事業企画は、新しいビジネスアイデアを立ち上げるための計画を策定することが目的です。
具体的には、市場調査やビジネスプランの作成、財務分析、チーム作成、資金調達等の業務が含まれます。事業企画は、ビジネスの立ち上げに焦点を当てた具体的な計画を策定することが目的です。
一方、経営企画は、組織全体の将来の方向性や目標を設定するための企画です。
具体的には、ビジョンやミッションの策定、戦略的目標の設定、事業ポートフォリオの管理、リスク管理等の業務が含まれます。経営企画は、長期的な視野に立って、組織全体を取り巻く環境の変化に対応するための戦略を策定することが目的です。
事業企画と経営企画が明確に組織化しているケース
事業企画と経営企画が明確に組織化しているケースは、大企業に多くみられます。一方、ベンチャー企業では事業企画と経営企画が一体化し、運営されているケースが多くみられます。
事業を効果的かつ効率的に進めるため、経営陣が自ら経営・事業に関わっているのです。そのため、経営企画部門のなかに事業企画の役割が含まれることがあるでしょう。
経営企画に関して、詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

事業企画の主なKPI
事業企画のKPI(Key Performance Indicators)は、企画の目的に応じて異なりますが、一般的には以下のようなものが挙げられます。
- 収益性
事業企画において、収益性は最も重要なKPIの一つです。ビジネスプランに基づいて、事業が収益を上げることができるかどうかを評価します。収益性のKPIには、売上高、粗利益率、営業利益率、投資回収期間などが含まれます。 - マーケットシェア
事業企画の目的は、市場で競合他社と競い合い、一定のシェアを獲得することです。そのため、事業企画では、ターゲット市場でのマーケットシェアの拡大を目指すことが重要です。マーケットシェアのKPIには、市場占有率、新規顧客獲得率、既存顧客維持率などが含まれます。 - 資金効率
事業企画には、資金の調達や運用が必要です。そのため、事業企画では、資金の効率的な運用を目指すことが重要です。資金効率のKPIには、投資収益率、資本回転率、キャッシュフローなどが含まれます。 - 顧客満足度
事業企画では、顧客満足度の向上が重要です。顧客が満足するサービスや商品を提供することができれば、顧客獲得や顧客維持につながります。顧客満足度のKPIには、顧客満足度調査の結果やリピート購入率、口コミ評価などが含まれます。
以上が、事業企画の主なKPIの一例です。企画の目的に応じて、KPIは異なるため、具体的なKPIは企画の目的に基づいて設定されます。
未経験から事業企画への挑戦は難しい
残念ながら、未経験でいきなり事業企画の主担当としての業務をすることは、難しいのが事実です。
しかし、全く挑戦ができないわけではありません。オススメは以下の3つです。
- 50人以下のベンチャー企業に転職する
- 事業企画のサブ担当からチャレンジする
- 営業やマーケティング責任者のポジションを経験する
50人以下のベンチャー企業へ転職する
ベンチャー企業では、若手人材の成長を促す意味も含めて年功序列ではなく、優秀な社員をどんどん抜擢していく頻度が大手企業よりもあります。
その中でなぜ50人規模なのか。これには理由があり、役者が揃っておらず、まだ席がある状態だからです。
50人を超えてくるとマネージャーの席や役割が埋まってきます。
事業企画ができる機会を掴むためにあえて、規模が小さく裁量権がある企業へ転職するケースがあります。
50人以下のベンチャーへ転職する場合のデメリットは「年収と福利厚生」です。
年収はこのフェーズだと300〜500万円ほどになります。経験を積み転職をして600〜800万円まで上げる前提で考えておく必要があります。また福利厚生もないに等しいため一緒に作っていく当事者意識も必要になってきます。
事業企画のサブ担当からチャレンジする
メインで事業企画への転職は難しいですが、「事業責任者の右腕ポジション」の求人が存在します。
検索の仕方は「事業責任者 補佐 求人」「事業企画 メンバー 求人」と調べるとヒットしてきます。
ただ、メンバークラス、右腕ポジションの採用ハードルは決して低い訳ではないのでしっかりと準備が必要です。
営業やマーケティング責任者のポジションを経験する
事業企画では、先述したようなスキルが求められます。実は、営業やマーケティングといった、経験が必要となることがほとんどです。
「転職」という手段も魅力的ですが、現職にて責任者クラスになれるのであれば、現職慰留も1つの方法だと言えます。
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ハイクラス向けの転職サービスです。業界・職種としては、金融・コンサルが最も多く、次いでIT・事業会社・製造業関連が中心のサービスです。
事業企画からの転職は?経験後のキャリアパス
事業企画の次のステップは「経営企画」になります。
経営企画のよくある必須経験ですが
・予算管理(FP&A)分野およびM&A分野における専門性と実務経験
・M&A分野は、財務や法務等、各領域の基本知識があり領域横断で統合思考できる方
・複数プロジェクトを同時並行で進めるプロジェクトマネジメントスキル
○ベンチャー・メガベンチャーで、中期経営計画の策定/予算策定等の経験
○ベンチャー・メガベンチャーで、M&Aプロセスを推進してきた経験
○ベンチャー・メガベンチャーで、経営企画や社長室で特命案件を推進してきた経験
M&Aの分野での経験が大手では求められることは多いですが、 経営企画後のキャリアとしては、財務領域責任者、財務・IRへの拡張、グループ会社のCFO、経営企画部責任者、事業責任者など、役割に対して成果を出すことで、自らの意思で様々なキャリアパスを描き、実現することができます。
事業企画は、企業にとって経営に関わる重要なポジションであり、一般公開されている求人は多くありません。
もしくは事業企画を目指すためにまずは、営業やマーケティングなどの事業責任者の経験を積む必要があるかもしれません。
ご自身のスキルや経験に合わせて転職活動されることをお勧めします。
事業企画の求人数は多い?
事業企画の求人数は、業界や地域、経済状況によって異なりますが、一般的には比較的少ないと言われています。
事業企画の仕事は、新しいビジネスアイデアを立ち上げるための計画を策定することであり、高度な専門知識やスキルが必要であり、複数の分野にわたる知識や経験が求められます。そのため、求人数は比較的少ない傾向にあります。
ただし、新しいビジネスアイデアを持つスタートアップ企業や、大企業の新規事業開発部門などでは、事業企画のポジションが存在する場合があります。また、経営コンサルティングファームや投資ファンドなどの金融機関では、事業企画の専門家を採用する場合もあります。
最近では、新しいビジネスモデルやテクノロジーを駆使して、既存のビジネスを改革するデジタルトランスフォーメーションが注目されています。そのため、デジタル技術に詳しい事業企画の専門家が求められることもあります。
総じて言えることは、事業企画の求人数は業界によって異なりますが、専門性の高い仕事であるため、求人数は比較的少ないと言えます。
質の高い転職支援に定評がある【ジェイエイシーリクルートメント】

両面型の転職サービスで、様々な業界・職種へのて支援に定評があります。
年収800万円~1500万円以上の支援に強みがあります。
事業企画への転職:オススメ
事業企画の案件は、基本年収が500万円〜600万円以上が多い特徴があります。
そのため、500万円以上の求人を豊富に取り扱っているエン・ジャパンのサービス「AMBI」、ビズリーチが展開している「ビズリーチ」、パーソルキャリアが展開をしているハイクラス転職エージェント「dodaX」事業企画や経営企画ポジションへの転職を専門に扱う部署がある「ジェイエイシーリクルートメント」など複数のサービスを活用すると良いと思います。
ベンチャー企業での求人を探すのであれば、Wantedly・中小エージェントの活用が良いかと思います。事業企画ポジションは経営に直結するため、企業も慎重に採用を行っています。
そのため「非公開求人」として、信頼のおける特定エージェントに採用をお願いしているケースがあります。経営者と深くコミュニケーションを取る中小エージェントでは、大手エージェントにはないポジションもあるのが特徴です。
事業企画への転職を検討されている方へ
事業企画は企業にとって経営に関わる重要なポジションであり、一般公開されている求人は多くありません。
事業企画をやりたい理由は、自分が考えたアイデアやビジネスプランを形にできること、新しい価値を創造し、社会に貢献することができること、そして、自らがリーダーシップを発揮し、チームをまとめて事業を成功させることができることです。
また、事業企画は、試行錯誤や挑戦が多い仕事であり、自己成長につながることも魅力の一つです。自分が関わった事業が成功し、社会に大きな影響を与えることができるというやりがいもあります。
ただ、ギャップや大変さもあります。
事業企画は、ビジネスアイデアの立案から実行までの全プロセスを責任を持って行うため、プレッシャーやストレスが多く伴います。また、試行錯誤が多い仕事であるため、正解がない中で正解を見つけ、その中で「実績」を作る必要があります。
単純なキャリアアップだけではつとまらない仕事の1つですので、面接でも「なぜ事業企画をやりたいのか?」「なぜそれをやり続けたいのか?」など強く問われます。原体験をもとにしっかりと伝える練習が必要です。
事業企画の転職は求められる経験スキルが高いため、様々なヘッドハンターが利用している「ビズリーチ」など複数のエージェントをぜひ利用しながら「非公開求人」を探していくことをおすすめします。