売り手市場の「営業職」未経験で就職・転職を成功させるには?
今回は「営業職」についてのご紹介です。
実は私が転職エージェント、採用人事としてさまざまな求人を見て思ったのは「営業職のニーズの高さ」と「WEBマーケティングや採用人事などのへの職種」にジョブチェンジがしやすいという事実です。
今回は、営業職をオススメする理由、営業職の中でもどの業界がオススメか、そして営業への転職を成功させるための秘訣を解説していきます。
就活生向けの記事ではありませんが、キャリアを逆算して考えたい学生はぜひ確認ください。
営業職の市場価値
転職市場では、同じ営業職でも上記ようなヒエラルキー(階層)が存在し、上位になればなるほど報酬・待遇・異業種転職がしやすい特徴があります。
無形商材(金融・広告・人材紹介・コンサル・ソフトウェアなどのITサービス)の法人営業経験は市場から高く評価されます。
単価・営業手法・提案相手でも転職市場は変わる
転職市場では高く評価されやすい営業経験が存在します。
- 新規開拓営業
- エンタープライズ向けの営業
- 単価数百〜数億円の提案営業(ソリューション提案)
- 経営者・役員クラスへの提案
上記のような経験があり、上位20%の営業成績があれば、転職時に高い評価を受ける傾向があります。
無形商材・法人営業経験は転職市場では有利
無形商材や法人営業経験は、転職市場で高く評価される理由は、その性質からくるソリューション要素が非常に強力であることに起因しています。
無形商材は、物理的な製品ではなく、サービスやソフトウェアなどの非物質的な価値を提供するものです。無形商材を販売する際には、顧客の問題やニーズに合わせたカスタマイズやコンサルティングが不可欠です。
無形商材の法人営業経験者は、顧客の課題を分析し、それに対する効果的な解決策を提供できる能力を持っており、複雑なビジネス環境での問題解決は、組織にとって重要な要素です。
そのため、製品や商材への魅力ではなく、難易度の高い課題解決力が求められる点から転職市場で重宝されます。
コンサルティング職・マーケティング職・人事職・企画職など年収・専門性が高い分野では「無形法人営業」の経験を必須にしている企業が多く存在します。
営業職でキャリアを考える場合は「無形商材」「法人営業」の経験があることは今後有利に働きます。経験がなければ挑戦することをオススメします。
転職を検討するのであれば28歳が1つの目安
この年齢になると、多くの人が大学を卒業し、職務経験を積んでいることが一般的です。新しい職場で価値を提供しやすく、求人市場での競争力を高める要因となります。
また、28歳は若さと柔軟性が兼ね備わっている時期です。新しい環境に適応しやすく、新たな挑戦に対する意欲も旺盛です。
さらに、この年齢からキャリアの方向性がより明確・ある程度決まってきます。異なる業界や職種で新しい経験を積み自己成長を促進し、将来のキャリアに対する選択肢を広げることにつながります。
特に、スキルや経験を持つ28歳の候補者は、市場価値が高く、給与交渉において有利な立場にあります。
ただし、転職は慎重に計画し、自分のキャリア目標に合致する機会を見極める必要があります。28歳の時期は、新たなステップを踏み出すための貴重なチャンスと言えるでしょう。
営業職への転職は未経験でも採用されやすい
営業職への転職において、未経験でも採用されやすい理由は2つあります。
- 営業職は求人が多い
- 特別なスキル、経験がなくても挑戦できる
営業職はdodaの「転職求人倍率レポート(2019年10月)」によると営業職の転職者に対する求人の倍率は2.40と、売り手市場であることがわかります。
営業職の中でも新型コロナ以降の転職市場では、リモートワークの広がりがあり「インサイドセールス・カスタマーサクセス」の求人が増加傾向にあります。
働き方が変わり、今まで以上に「専門性のある人材」、即戦力人材を採用する傾向に変化しています。
その「専門性を求める求人」は、IT系の営業職が飛び抜けてニーズが高い状況です。
コロナ禍で求人が減った業界職種がある一方で、ITに関する業界・職種に関してはそれほど変化はなく、ニーズがあります。
実はIT系の営業への転職は、必ずしもITやシステムに関する業界知識が必要というわけではなく、法人営業経験さえあれば問題ない求人が増えています。
また、新型コロナの影響で多くの企業がリモートワークを導入したことで、よりインサイドセールスやカスタマーサクセスの需要は伸びてくると考えています。
人口減少や地方勤務も増えてくることからITを活用した「営業」ができる人材は市場価値が高いといえます。
若いほど採用率は高いが、35歳を越えると難しい
しかし未経験から転職をする場合、年齢が大きな採用基準になります。
理由は様々ですが「マネジメントのしづらさ」や「年収維持ができない」などがあります。
未経験で営業職に限らず、業界職種への企業にとって育てやすいのは、フットワークが軽く、すぐに売り上げを上げてくれる若手のメンバークラスです。
採用コストも年収も高くなりがちな、管理職や中核メンバーは採用しにくいのが本音です。
未経験の業界への転職では年齢が若い20代ほど採用されやすく、30代や40代など年齢を重ねるほどに採用されにくいと言えます。
転職エージェントからの経験からお伝えすると未経験職種への転職では年収なども下がるため、あまりおすすめしません。未経験業界への転職を考えているのなら早めの決断が必要になります。
20代で多くの経験ができるキャリアステップも考えても良いかもしれませんね。
女性が働くなら、ルート営業もオススメ
女性の方からすると、営業職というのは男性の人が多いイメージがあるかもしれませんが、コミュニケーション能力や共感能力が高かったり、若手の男性より活躍されている方は多いのが特徴です。
とはいえ、「営業職ってノルマや数字達成とかの目標が厳しそう…」と思う方も多いかと思います。
営業職も様々で、業界によっては、顧客の急な要望に答える必要があったり、残業が多かったりと、体力がないときついこともあります。
そのため女性には「ルート営業」と呼ばれる営業手法の業界がオススメです。
ルート営業とは!?
ルート営業とは、営業の一形態で、営業担当者が定期的に既存の顧客を訪問し、商品やサービスの提案、受注、情報収集などを行う活動を指します。この手法は特に、継続的な顧客関係を重視するビジネスモデルで一般的です。
ルート営業の特徴
- 定期訪問: 既存の顧客に対して、定期的に訪問を行います。訪問頻度は業種や顧客のニーズに応じて異なります。
- 関係構築: 長期的な顧客関係の構築と維持に重点を置きます。信頼関係を築くことで、リピートビジネスや新商品の案内が容易になります。
- 受注活動: 既存顧客からの定期的な受注を確保します。これには商品の補充、新商品の紹介、特別なプロモーションの提案などが含まれます。
- 市場情報の収集: 顧客から直接フィードバックを得たり、市場動向を掴んだりするための重要な手段です。
- 問題解決: 顧客の問題や苦情に対応し、満足度を高めることも重要な役割です。
新規開拓営業がないため、テレアポ活動などが少ないため営業職・未経験者でも挑戦しやすい職種の1つです。
転職サービスを利用している場合は「ルート営業・既存営業」のワードで検索してみてくださいね。
ルート営業の利点
- 顧客満足度の向上: 定期的なコミュニケーションにより、顧客のニーズに応じたサービスが提供できます。
- 安定した収益源: 既存の顧客からの継続的な受注により、安定した収益が見込めます。
- 競合との差別化: 顧客との強固な関係は、競合他社に対する優位性をもたらします。
ルート営業の課題
- 市場変化への対応: 市場や顧客ニーズの変化に柔軟に対応する必要があります。
- 新規顧客の開拓: 既存顧客に依存しすぎると、新規顧客の開拓がおろそかになるリスクがあります。
ルート営業は、顧客との長期的な関係を構築し、安定したビジネスを維持するための重要な手法です。しかし、市場の動向に注意を払い、常に顧客のニーズに合わせて自身の提案を更新する必要があります。
営業の仕事内容と将来性を紹介
営業職は、専門性を身につけにくいと思われがちですが、扱う商材やクライアント(法人顧客)によっては、会社に依存せず、独立することも可能です。
対法人の営業ノウハウ、決裁者とのパイプ構築スキルなど、いずれも営業の仕事を通して養うことのできる、重要な専門スキルといえます。
営業から管理部門やバックオフィスへの転職を希望する人が多いのですが、人事もマーケティングも企画も「未経験」の場合は「営業職の経験がほぼ必須」になります。
もともとはこれらの職種は営業から通ずる業務です。
営業スタイルや営業先、商材や価格帯を変えるだけで身につくスキルも変わり、専門知識もついてきますので、人事やWebマーケティングなどへ挑戦したいと考えている方は、まずは営業への転職を考えることをおすすめします。
ここまでオススメをしてきた営業職ですが、一言に営業といってもその種類は様々で、3つの視点から区分することができます。
- 営業手法(新規営業・深耕営業)
- 営業相手(法人顧客・個人顧客)
- 扱う商材(無形商材・有形商材)
新規営業は
転職市場では「新規開拓営業」経験はかなり重宝されます。
- 新規営業
- 深耕営業
新規営業はまだ取引がない企業に対してアプローチをして、新たに契約を受注する営業になります。全く信頼関係が構築されていない状況から営業をするので難易度が高く、アポイントが全く取れないこともあります。
新規開拓営業はストレス耐性も求められますが、給料も良く、新規顧客の獲得に繋がれば、徐々に新規開拓営業から深耕営業になってきます。
未経験で営業職に挑戦することに抵抗がある場合は、すでに契約をしている企業へアプローチをする「ルート営業」がやはりおすすめです。
indeedで試しに求人を検索すると既存営業は「62,240件」新規開拓営業は「137,136件」(2021/06現在)でした。
新規開拓経験の有無で、約2倍近く求人数が変わってきますので市場価値を高めたい方は「新規開拓営業」がおすすめです。
個人顧客より法人顧客の方が転職市場では評価が高い
- 法人顧客
- 個人顧客
どちら顧客を担当にしても営業は難しいですが、市場価値では法人営業経験が有利になります。
理由は様々ですが、法人営業の場合は、営業先が決裁権を持つ経営者、役員、事業責任者クラスもあるため、提案力が求められます。
また、商材によりますが、個人よりも法人顧客へ提案する商材単価も高いのも特徴です。
営業スキルが身に付きやすいため、法人営業の評価は高いとされています。
個人営業と比べると法人営業の方が給与は高くなり、土日休みも多いのが特徴になります。
有形商材より無形商材がオススメ
- 無形商材
- 有形商材
この二つの言葉を初めて聞く方もいると思いますが、違いは簡単で「商材が形を持っているか、持っていないか」の違いです。
有形商材はパソコンや通信機器といった機械製品から、食品や不動産など形のある商材。
無形商材はコンサルティングなどのサービスや、IT商品、金融商品、保険のように形のない商材のことです。
有形商材を扱う場合は商品を直接営業、販売するため、営業力がそこまでなくても商品さえ好きになってもらえれば、成果に繋がりやすいと考えられ、転職市場では「商品が良かったので売れたのでは?」となります。
一方で無形商材は、形がなく顧客にイメージしていただくことが難しいため、商材がどのような特徴で、どのように顧客に対して利益を産むか、といった営業力が必要となります。
そのため、有形商材よりも営業の難易度が上がるため、無形商材の方が転職市場では評価される傾向にあります。
営業職に就くメリットとは
営業職に転職することのメリットは以下の通りです。
- キャリア選択の幅が広がる
- 給料が高い、数字が給料につながる
キャリア選択の幅が広がる
営業職は未経験でも転職しやすい上に、しっかりと営業で努力をすればコミュニケーションスキルやプレゼンスキルといった基本的なスキルに加え、自分の扱う商材や業界への知識が得られます。
また、顧客との交渉力などの営業職だからこそ経験できることもあるので、人事や広報の求人では営業経験を求めているものもあります。
加えて営業職というのは顧客と企業の架け橋として働くため、両方の意見を理解できる貴重な存在でもあります。
仮にコンサルタントの営業であれば、サービスの不満や感想を直接顧客から聞けるので、顧客の求めている事がよく分かる上に、企業側としてどの様にサービスを改善するかに関わることもできるので、ビジネススキルとともに市場価値が上がりやすいといえます。
給料が高い、数字が給料につながる
営業職は自分の成果が数字に明確に表れるので、結果さえ残せばこれまでの社歴とは関係なく評価される事がメリットです。
さらに企業の掲げる売り上げ目標を達成すれば、給料のアップも見込め、昇進にもつながるので、努力の成果が出やすいです。
また、企業によっては成果次第でインセンティブが発生する場合があります。
参考程度に「事務職」の年収も引用してみました。約200万円ほど給与は変わってきます。
事務職は、商品などの輸出入の際に必要な事務手続きを行う「貿易事務」の平均年収が最も高いため、事務職で転職を希望する場合は「専門知識」が必要な分野への転職をおすすめします。
営業事務で「営業」への異動などができるのであれば社内異動を検討し1年ほど経験をし、転職をするのも良い方法です。
営業職に就くデメリットは?
営業職のデメリットは、人によって異なるため、転職エージェントや採用人事の経験を活かし、「営業職からの転職理由」をお伝えします。
・キャリアアップのため 「有形商材」から「無形商材」、「個人営業」から「法人営業」への転職など、現在の職場では今後のキャリアアップが望めない場合、別の企業へ転職を考えるケース。 |
・就業条件のよいところへ 「出勤時間が遅い企業がいい」「福利厚生が充実しているところがいい」など就業条件や待遇面の改善、労働時間や子育ての関係から「フレックス制度」も含めた条件のよい企業へ転職したいと思う方ケース。 |
・数字を追うことなどが疲れた 営業職は、基本的に売上を作る役割があるため、数値目標が設定されています。「1ヶ月に10件の新規契約を取る」「電話のセールスは1日に100件」など、高いモチベーションを維持できなければ達成できないノルマもあるため、ノルマのない、もしくは少ない企業に転職を希望するケース。 |
・人間関係 営業会社に多いのですが、仕事内容や給与に問題なくとも「上司と合わない」「職場がギスギスしている」などという理由で転職を考えるケース。営業職に限らず「人間関係」が良好な自分にあった環境で働きたいと思うケース。 |
・人と話す仕事が合わない 営業先に訪問したり、電話でセールスをする営業職は、人と話す仕事です。 営業職でもメールや書類作成などの事務作業もありますが、そういった業務をメインとする仕事や、人と話すことの少ない仕事への転職を考えるケース。 |
営業職への就職・転職に向いている人
- 学歴に自信がないけど稼ぎたい、成長したい人
- 年収を上げていきたい人
- 潰しの効くキャリアを歩みたい人
- 自分を圧倒的に成長をさせ転職市場でも有利になりたい人
逆に向いていない人
- 営業職よりも事務作業が好きな人
- 稼ぎたいという欲求より生活を安定させたい人
- 定時上がり、定時出社。決められた仕事をこなしたい人
- 人と接するのは苦手な人
- 学生の時などにスポーツ競技の経験はなく、評価や競い合うことが苦手な人
いかがでしたでしょうか。
「営業職」に限らず、メリット・デメリットはその人の価値観によって異なります。
自分の価値観や良い面・悪い面を知った上で良い意思決定をいただけると嬉しく思います。
Diver(ダイバー)では、引き続き「自己実現を実現するための手段や情報」を提供して参ります。
少しでも多くの方の助けになるようサービスを提供して参りますので、応援よろしくお願いいたします。また少しでも役に立ったと感じて頂けた方は、SNSでの拡散などいただけると嬉しく思います。