【SESから転職】中途採用・就職・面接対策・気になる年収・転職難易度をプロが解説
「SESからの転職」ガイドブックをお読みいただき、ありがとうございます。
本書は、システムエンジニアリングサービス(SES)業界で働く皆様が、新たなキャリアのステップを踏み出すための手助けを目的としています。SESは多様なプロジェクト経験を通じて幅広いスキルを習得できる魅力的なフィールドですが、安定性や専門性の深化を求めて転職を考える方も多いのが現状です。
本書では、SESからの転職を成功させるための具体的なアドバイスや情報を提供します。転職理由の整理、職務経歴書の書き方、面接対策など、転職活動における重要なポイントを網羅しています。さらに、SES経験をどのように他業界や職種で活かせるか、転職先として適した業界や職種の紹介も行っています。皆様が新たなキャリアで成功し、さらなる成長を遂げるための一助となることを願っています。
SES(システムエンジニアリングサービス)は、IT業界で非常に一般的な雇用形態の一つです。以下に、SESの概要と転職に関する情報をまとめます。
本書でのSESとは?
SESは、クライアント企業のシステム開発や保守・運用業務を請け負う形態のサービスを指します。SES企業は、自社のエンジニアをクライアント先に常駐させ、そのエンジニアがクライアントの業務を支援する形態を取ります。これにより、クライアント企業は自社のリソースを柔軟に補完することができます。
SESエンジニアの業務内容は多岐にわたります。具体的には、システム開発、ソフトウェア保守、ネットワーク構築、サーバー管理、セキュリティ対策などが含まれます。エンジニアはプロジェクトの一部として、チームの一員として働くことが多いです。
- 常駐型: エンジニアはクライアントのオフィスに常駐して業務を行います。
- 契約形態: 契約はプロジェクト単位で結ばれることが多く、契約期間は数ヶ月から数年までさまざまです。
- 柔軟性: クライアント企業は必要なスキルセットを持つエンジニアを短期間で確保できるため、プロジェクトのニーズに応じてリソースを調整できます。
SESから転職する理由
SESエンジニアが転職を考える理由はいくつかあります。
1. キャリアの安定性
SESエンジニアはプロジェクト単位で契約されるため、プロジェクトが終了すると次の仕事が見つかるまで不安定な状況になることがあります。より安定したキャリアを求めて転職を考えるケースが多いです。
2. スキルの深化
SESでは、クライアントのニーズに応じた多様なプロジェクトに関わる機会がある一方、特定の分野で深くスキルを磨く機会が限られることがあります。専門性を高めたいエンジニアは、より専門的な役割を求めて転職を希望することがあります。
3. 労働環境
クライアント先での常駐が前提となるため、労働環境が自分に合わない場合があります。例えば、勤務地や勤務時間の柔軟性が制限されることもあります。
4. キャリアパスの明確化
SES企業ではキャリアパスが不明確な場合があり、昇進やキャリアアップの道筋が見えにくいことがあります。明確なキャリアパスを提供する企業への転職を目指す人が多いです。
SESからの主な転職先
SESエンジニアが転職を考える際の候補としては以下のようなものがあります。
1. 自社開発企業
自社製品の開発を行う企業では、長期的なプロジェクトに深く関わることができ、スキルの深化が期待できます。
2. SIer(システムインテグレーター)
システムインテグレーションを手がける企業では、SESと似た環境でありながら、よりプロジェクト全体に関わる機会があります。
3. インハウスのIT部門
企業の内部IT部門で働くことで、安定した環境での業務が可能になります。特定の企業のシステム運用に長期的に関わることができるため、スキルの深化が期待できます。
4. コンサルティングファーム
ITコンサルタントとして、幅広いプロジェクトに関わり、戦略的な視点からの提案や実行支援を行うことができます。
5. スタートアップ
スタートアップ企業では、多様な役割を担い、迅速な成長と幅広い経験が期待できます。
SESエンジニアは多様なプロジェクト経験を積むことができますが、キャリアの安定性やスキルの深化を求めて転職を考えることが多いです。
転職先としては、自社開発企業、SIer、インハウスのIT部門、コンサルティングファーム、スタートアップなどが挙げられ、それぞれの選択肢には異なるメリットがあります。自分のキャリアゴールや興味に合わせて最適な転職先を選ぶことが重要です。
事業会社への転職を考える際、技術スタックの深い知識と高度なスキルが求められることが一般的です。特に、事業会社では社内システムやサービスの開発・運用において、幅広い技術スキルと専門知識が必須となります。
事業会社が求める技術スタックのレベル
1. 専門的なプログラミングスキル
事業会社では、特定のプログラミング言語やフレームワークに対する高度な知識が求められます。例えば、JavaやPython、JavaScript(React、Angular、Vue.js)などの言語はもちろん、Spring BootやDjangoといったフレームワークの実務経験が必要になります。コードの最適化や効率的な設計、テスト駆動開発(TDD)など、コーディングのベストプラクティスを理解し実践できることが期待されます。
また事業会社では「プロダクト愛」が必要になることも多いため、開発スキルを高めたいだけでは見送りになる可能性が高いため準備が必要です。
2. クラウドサービスの活用
現代の事業会社では、AWS、Google Cloud Platform、Microsoft Azureなどのクラウドサービスの利用が一般的です。インフラの自動化(Infrastructure as Code)、コンテナオーケストレーション(Kubernetes、Docker)、サーバーレスアーキテクチャの知識と経験が重要です。クラウド環境でのシステム設計・運用に関するスキルは、高く評価されるポイントです。
3. データベースの専門知識
リレーショナルデータベース(MySQL、PostgreSQL)やNoSQLデータベース(MongoDB、Cassandra)の設計・運用に関する深い理解が必要です。特に、データのスケーラビリティ、パフォーマンスチューニング、セキュリティ対策に関する知識は重要です。
4. DevOpsの実践
開発と運用の連携をスムーズに行うためのDevOpsの概念を理解し、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)パイプラインの構築・運用経験が求められます。Jenkins、GitLab CI、CircleCIなどのツールの使用経験があることが望ましいですが、事業会社への転職が未経験の方も多いため経験が無くとも問題ありません。
5. セキュリティの知識
サイバーセキュリティに関する知識と実践的なスキルは、事業会社において非常に重要です。セキュリティ対策の設計、脆弱性の管理、セキュリティテストの実施など、幅広いセキュリティ関連のスキルが求められます。
事業会社への転職を成功させるためには、上記のような高度な技術スキルと専門知識が求められます。特に、特定のプログラミング言語やフレームワークに対する深い理解、クラウドサービスの利用経験、データベースの運用スキル、DevOpsの実践、セキュリティ対策の知識など、多岐にわたるスキルセットが必要です。
これらのスキルを身につけ、実務経験を積むことで、事業会社への転職活動において強力なアピールポイントとなります。また、継続的な学習と最新技術のトレンドに対する敏感さも、エンジニアとしての成長と成功に不可欠です。
SESエンジニアの年収
SES(システムエンジニアリングサービス)エンジニアの年収は、経験やスキル、勤務する企業によって大きく異なります。
若手エンジニア(経験1~3年) | 300万円~450万円 |
中堅エンジニア(経験3~7年) | 450万円~600万円 |
ベテランエンジニア(経験7年以上) | 450万円~600万円 |
転職後の年収
SESから他の企業や事業会社に転職した場合、年収がどれくらい上がるかについては、以下のポイントを考慮します。
自社開発企業への転職
自社開発企業では、SESの経験を活かしながら、長期的なプロジェクトに従事することが多いため、年収が大幅に上がるケースが多いです。
若手エンジニア(経験1~3年) | 400万円~550万円 |
中堅エンジニア(経験3~7年) | 550万円~700万円 |
ベテランエンジニア(経験7年以上) | 700万円~1000万円 |
大手企業やSIerへの転職
大手企業やシステムインテグレーター(SIer)では、SESのスキルを評価し、高い年収を提示することがあります。
若手エンジニア(経験1~3年) | 400万円~600万円 |
中堅エンジニア(経験3~7年) | 600万円~800万円 |
ベテランエンジニア(経験7年以上) | 800万円~1200万円 |
ITコンサルティングファームへの転職
ITコンサルティングファームでは、SESの経験を持つエンジニアに高い報酬を提供することが一般的です。特に、プロジェクトマネジメントや高度な技術スキルを持つエンジニアは高く評価されます。
若手エンジニア(経験1~3年) | 500万円~700万円 |
中堅エンジニア(経験3~7年) | 700万円~1000万円 |
ベテランエンジニア(経験7年以上) | 1000万円~2500万円 |
SESエンジニアの年収は、経験やスキル、勤務先の企業によって異なりますが、平均的には300万円から800万円の範囲にあります。
転職後は、経験とスキルに応じて年収が大幅に上がる可能性があります。特に、自社開発企業や大手企業、ITコンサルティングファームへの転職は、年収アップが期待できる転職先として考えられます。自身のキャリアパスと市場価値を見極めながら、最適な転職先を選ぶことが重要です。
SESからSESへの転職は抵抗がある。でも開発スキルがない場合は…
SESからSESへの転職に抵抗を感じる場合でも、技術スタックや開発スキルが足りない状況では、転職の選択肢としてSESを再度考慮するのも一つの方法です。
SES企業は多くの異なるプロジェクトを手がけるため、様々な技術スタックやツールを使う機会があります。
SES企業でも広範な経験を積める企業が存在します。「三次請け」であれば「一次請け」などヒエラルキーを上げていくことがポイントです。
技術スタックや開発スキルが足りないと感じる場合でも、SESへの再転職は有効な選択肢です。ただSESからSESに転職する場合はヒエラルキーを上げることが大切になります。
SESから転職:転職理由の伝え方・志望理由
SESから事業会社エンジニアへの転職
私はこれまでSES(システムエンジニアリングサービス)として多様なプロジェクトに携わり、幅広い技術スタックと開発スキルを習得してまいりました。この経験を通じて、柔軟な問題解決能力と高い適応力を身につけることができましたが、今後のキャリアを考えるにあたり、事業会社のエンジニアとして長期的に一つのプロダクトやサービスに関わりたいと強く思うようになりました。
事業会社では、自社のプロダクトやサービスに対して長期的にコミットすることが求められると考えています。特定の技術やドメイン知識を深く掘り下げることができ、専門性を高めたいと考えています。
またSESの仕事ではプロジェクトごとに異なるクライアントの業務に携わるため、短期間での成果が求められる一方、事業会社では自社プロダクトの成長や改善に継続的に携わることができます。プロダクトの品質向上や機能追加に長期的に取り組み、その成長を見守りながら自身も成長していくことができると考えています。
SESからコンサルティングへの転職
■転職理由
私はこれまでSES(システムエンジニアリングサービス)として、様々なクライアントのプロジェクトに携わり、多くの技術スキルとプロジェクト管理能力を培ってきました。SESとしての経験は非常に多様であり、クライアントのニーズに応じて柔軟に対応する能力を身につけることができました。しかし、プロジェクトごとにクライアント先が変わり、短期間での成果を求められることが多いため、長期的な視点でのプロジェクト管理や、継続的なクライアントとの関係構築が難しいと感じるようになりました。
さらに、SESでは特定の技術や業界に深く関与する機会が限られるため、専門性を高めることに限界を感じることがありました。私は、より戦略的な視点からクライアントのビジネス課題を解決し、長期的に貢献できる職種を目指したいと考えるようになりました。そこで、コンサルタントへの転職を決意しました。
■志望理由
コンサルタントとしてのキャリアを追求する理由は、SESで培った技術的なスキルとプロジェクト管理能力を、より戦略的なビジネス課題の解決に活かしたいという強い意欲からです。コンサルティングファームでは、クライアントのビジネス全体を理解し、技術的な解決策を提供するだけでなく、経営戦略や業務プロセスの改善など、幅広い視点からアプローチすることが求められます。これにより、私のスキルをさらに発展させ、クライアントに対してより深い価値を提供できると確信しています。
具体的には、貴社のような大手コンサルティングファームでの勤務を希望しています。貴社は、業界をリードする専門知識と広範なネットワークを持ち、多様なクライアントに対して高品質なコンサルティングサービスを提供しています。これにより、私は多様な業界やビジネスモデルについて学び、幅広い視野を持つことができると考えています。
また、貴社のチームは、プロジェクトの成功に向けて強力な協力体制を築いていると聞いております。SESとしての経験を活かしつつ、貴社のチームの一員として協力し、クライアントのビジネス課題を解決するために貢献したいと考えています。特に、技術とビジネスの架け橋となる役割を果たし、クライアントの成功に寄与することを目指しています。
貴社でのキャリアを通じて、私の経験とスキルを最大限に活かし、クライアントに対してより大きな価値を提供することを目指しています。どうぞよろしくお願い申し上げます。
SESから転職:まとめ
「SESからの転職」ガイドブックを最後までお読みいただき、ありがとうございました。SES業界での経験は、多様なスキルを持つプロフェッショナルとして他の多くの業界で高く評価されます。本書が皆様の転職活動において少しでも役立ち、新たなキャリアへの道を切り開く手助けとなれば幸いです。
転職サービスを利用する場合は、得意な強みが異なりますので有効活用いただければ幸いです。
転職は大きな決断ですが、自分の能力と経験を信じ、新たな挑戦に前向きに取り組む姿勢が成功への鍵となります。
本書で紹介した情報やアドバイスを参考に、希望する職種や業界での新しいスタートを切ってください。皆様の新しいキャリアが充実し、満足のいくものとなることを心よりお祈り申し上げます。未来への一歩を踏み出す勇気と準備が整った今、次なるステージでのご活躍を応援しています。