【M&A業界への転職】未経験での挑戦・難易度・面接を突破するコツなどを徹底解説
一言でM&Aといっても業態は幅広く、様々な業務をおこなう企業がたくさんあります。今回はM&A業界への転職についてお伝えしていきます。
M&A業界の仕事内容
M&A業界に転職をする場合、ミスマッチにならないように仕事内容を把握しておくことが大切になります。
ここでは、M&Aアドバイザーの仕事内容・業務内容の詳細を時系列順にお伝えできればと思います。
M&Aのマッチング
マッチングとは、M&Aを行う際の相手先候補の選定を行う業務になります。
売り手の企業から提出される資料と情報を元に、企業名を隠した状態で企業概要を記載した資料の作成を行います。
この資料を作成したのちに、買い手担当のアドバイザーが抱える買い手先候補の選定を行っていきます。
その後、マッチングにて相手先を選定する際に、売り手の条件等の意向を反映したリストを作成します。
買い手候補先企業一覧表のことをロングリストと呼び、そこからプラスで条件を絞って絞り込んだリストをショートリストと呼びます。
M&Aにおいてのマッチング業務は将来手を組み合って、共に会社を発展させていく事を約束するため慎重に選定する必要があります。
単純に買いたい、売りたいではなくM&Aする事で両社にとってシナジー効果があるかどうかを判断しなければなりません。
M&Aの交渉
M&Aの相手先が確定したのちに、具体的な条件面の交渉に入ります。
交渉においては、売り手と買い手の利益相反があるため、利益相反にならないよう売り手と買い手の条件の落としどころをアドバイザーが調整し、契約書に落とし込んでいきます。
契約書の作成
M&Aは、会社の売買ですので、非常に大規模な取引になります。
そのため、慎重に交渉や取り決めを行う必要があり、初回面談からM&Aの成立までの間に様々な契約書を交わすことになり、アドバイザーは各契約の調整業務をする必要があります。
主な契約書としては、①秘密保持契約書(NDA)、②基本合意契約書(LOI)、③最終合意(DA)があります。
また契約書周りの業務に関しては、法律の知識も必要になってくるため、最終的な作成は弁護士や司法書士が作成します。
①秘密保持書契約(NDA)
会社の保有情報を他の会社に開示する際に、情報漏洩や不正利用を防ぐ目的で締結する契約書を指します。基本的には初回面談で決算書を預かる際やマッチング候補先(売り手候補・買い手候補)を開示する際に結びます。
②基本合意契約書(LOI)
最終契約に至る前の途中段階で締結するもので、マッチング先が決まり具体的な条件面を調整するための契約書で基本的にはこの条件を元に最終合意までの調整をします。ただ、基本合意を結んだからと言って、その条件でM&Aをしないといけないというわけではなく、あくまで最終合意の前段階の調整契約になります。多くの場合、取引条件において法的拘束力のないものにします。
③最終合意(DA)
最終的な意思決定を示すことで、M&Aの成約をするための契約書です。
基本合意契約との違いは、双方の最終的な条件の合意を表すものになるので、法的効力が発生することです。内容としては、取引条件だけではなく誓約事項や表明保証等、広範囲にわたります。書面で条件を明確にすることで、M&Aのトラブルを避ける意図があります。
デューデリジェンス
デューデリジェンスとは、買い手企業が売り手企業を調査する業務です。反社会勢力ではないか、所有している土地に土壌汚染がないか、経営者の逮捕歴はないか、オフィスが違法建築ではないか等の調査まで行います。
デューデリジェンスを実施する分野は、①財務、②税務、③法務、④人事、⑤ビジネス、⑥IT、⑦その他の広範囲にわたり、基本的には買い手企業が選定した士業事務所やコンサルティングファーム等が調査を行います。期間は取引の規模によりますが、1~2か月程度になります。
企業価値評価
企業価値評価は、対象会社の価値を算出することで、M&A業界ではバリュエーションとも呼ばれます。
非上場企業は、上場企業と違い価格算定が非常に困難であることから、専門家による算定が重要です。
M&A業界は激務?労働環境は?
近年、M&A業界は少子高齢化による後継者不足や事業承継に悩んでいる経営者の増加により、市場が急成長しています。
また、若いうちから実力次第で高年収を得られる事や専門的な知識・経験が身につくことから、今人気の転職先になっており、入社から2~3年で数千万、1億円以上の給与を稼ぐ方もいます。
一方で、インセンティブ比率が高く、実績を残せば年次関係なく高年収を得られる業界だけあって、激務であり、ノルマが厳しいイメージがある方も多いのではないでしょうか?
M&A業界での業務は世間的には「激務」という認識があるかと思いますが、実際には会社と部署によって大きく異なります。
アドバイザー1名のみで初回訪問からクロージングまでをやることはほとんどなく、2から3名程度のチーム制で案件に取り組む場合が多いです。
また、社内での分業制や一部外部委託、金融機関とのアライアンス提携等を行っている会社もあるため、会社によって業務時間・業務内容は変わってきます。
抱えている案件の数や進捗によっては忙しい月もありますが、残業時間でいうと平均して30~50時間程度、多い時で80時間~100時間程度となります。
残業が多くなる理由
業務量が多くなる理由は、初回訪問から成約までの間に多くのプロセスが存在しているからです。
実際に会社の売買を行う際には、
①企業価値評価の算出
②相手先候補(売り手・買い手)の選定
③企業概要書の作成
④各契約書の作成(秘密保持契約、アドバイザリー契約、基本合意、最終合意)
⑤デューデリジェンス対応
など、初回訪問から成約するまでに発生する主な業務となっており、このプロセスに大半の時間を費やすため、比較的多忙で業務量が多くなります。
特にデューデリジェンスに関しては、1か月程度かかるため、物理的に残業時間が増える傾向にあります。
M&Aにおけるデューデリジェンスとは、譲渡対象企業に対する事前の調査手続きを指します。
“Due Diligence“という言葉自体は「当然行われるべき義務・努力」と和訳することができます
財務や法務、事業などの面から譲渡対象企業の情報を確かめて、内容を精査し、買収にふさわしい企業かどうかを検証します。
いずれにせよ、会社によって業務時間・業務内容は多少変わってきますが、平均年収が高く、数千万円・数億円稼げる業界のため、他業界と比較して忙しいことには間違いありません。
経営とファイナンス両面で能力を高められる点と高額な報酬というリターンがありますのでそれでも非常に人気の業界です。
M&A業界の採用動向
プライベートエクイティファンドと一般事業会社では、残念ながらM&A業界の未経験者の採用は難しい傾向にあります。
そのため、未経験者の場合は「M&A仲介」の経験が必須になります。
事業会社への転職を希望する場合は、まずは仲介からキャリアをスタートしましょう。
コロナ禍で「M&A」業界は、どう変わったか
コロナの影響で「事業売却」が増えており、一時的に買い手も敬遠していましたが以降は引き合いや成約件数が、増加に転じています。
上場クラスの大手企業は、財務の改善を図ることを目的に子会社を売却する動きがありました。
中小企業では、事業承継や廃業を視野に入れていた企業が、前倒しで買い手企業を探すようになりました。
また40代後半から50代の中小企業経営者が自社株を売却して雇われ社長となることを希望するケースも増えています。
M&A業界の魅力とは?平均年収は?
M&A業界は、年収の高い業界の一つです。
代表的な企業は、「M&Aキャピタルパートナーズ」「GCA」「M&A仲介のストライク」「日本M&Aセンター」「フロンティアマネジメント」などがあります。
M&A業界のトッププレイヤーの年収は、1億円を超えますが、同じM&A業界でも報酬制度が大きく異なりますので転職先を選ぶ際は注意が必要です。
M&A仲介業界の報酬制度のパターンは大きく3種類に分けられます。
(1) 固定給は安いが、インセンティブが高い会社(粗利の20~40%が年収)
(例)ベース360万円~420万円+インセンティブ(獲得粗利の20~30%程度が年収になるイメージ)
(2) 固定は高いが、高額なインセンティブ制度はなく会社業績に基づき一定の賞与を支給する会社群
(例)ベース600万円~1,000万円+業績賞与
上記のようなベース+業績賞与での支給があります。
(3) 1)と2)の間程度の分配率を設定する会社群
大手M&A仲介会社ですと平均的な成約単価は、3-5,000万円程度ですので年間2件成約すれば手数料額が1億円=年収2,000万円超という会社も珍しくありません。
1)~3)のどの企業群に転職したとしても非常に年収の高い業界であることには変わりありません。
M&A領域の採用ターゲット
会社ごとにかなり差がありますのであくまで大枠を捉えていただくことがポイントです。
投資銀行/M&A △~〇
外資系投資銀行の採用ターゲット
- 同業の投資銀行に在籍するアナリスト~VP
- 戦略ファームの20代若手
- 総合商社の投資経験者20代若手 ほか
※いずれも英語力必須
日系投資銀行の採用ターゲット
- 同業の投資銀行に在籍するアナリスト~VP
- 戦略ファームの若手
- 総合商社の投資経験者の若手
- 銀行・証券会社の成績優秀層の若手
- 会計士の若手
※いずれも英語力必須
big4FAS/M&A △~〇
- 投資銀行出身者
- 戦略ファームの若手
- 総合商社の投資経験者若手
- 銀行・証券会社のファイナンス業務経験者
- 会計士若手
- 事業会社経営企画、財務部の若手
※いずれも英語力必須
独立系FAS/M&A 〇
- 投資銀行に在籍するアナリスト~VP
- コンサルティングファーム出身者
- 総合商社の経営管理、投資経験者
- 銀行・証券会社の成績優秀層の若手
- 会計士の若手
- 事業会社経営企画、財務部の若手
- 簿記2級以上の会社基礎力のある方
M&A仲介 ◎
- 投資銀行に在籍するアナリスト~VP
- コンサルティングファーム出身者
- 銀行・証券会社の成績優秀層の若手
- 会計士の若手
- 事業会社の営業職成績優秀層
概要的にまとめますとこのようになりますが、会社もかなりの数がありますし、お人柄も大きく影響しますので詳細は是非ご相談下さい。
弊社では完全未経験の営業マンからbig4FASのM&Aチームに転職された方もおりますのである程度キャリアは作れると考えております。
M&A業界の特徴
M&Aは、大きく以下の4つに分けられます。
- 銀行・証券・ファンドのM&A
- コンサルティングファームのM&A
- M&A仲介会社のM&A
- 一般事業会社のM&A担当
以下で、それぞれについて詳しく説明していきます。
銀行・証券・ファンドのM&A
銀行・証券・ファンドのM&Aは、基本的に投資銀行部門に所属し、M&A業務をアドバイザリーとしておこないます。
上場企業などの大型案件を中心に扱います。
銀行・証券・ファンドでM&Aをおこなっている企業には、以下のものがあります。
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ
- みずほフィナンシャルグループ
- 三井住友フィナンシャルグループ
- りそなホールディングス
- ゴールドマン・サックス
- 野村証券
- 大和証券
などが挙げられます。
ここ数年の好景気を受け、中途採用でもポテンシャル採用枠がオープンとなっています。
しかし、ポテンシャル採用とはいえ、その人気の高さから企業が採用する目線も高く、いわゆるハイクラス人材と呼ばれる難関大卒やMBA取得者で、英語を流暢に使いこなすことができ、一定の財務会計の知見が求められる傾向にあります。
またハードワークへの適応力についても、選考フェーズを通じて判断されることも多く、強い精神的・体力的タフネス、論理的思考能力などが求められます。
ファイナンススキルについては金融機関の他部署に所属している方や会計士として会計監査業務に従事されている方などが当てはまるイメージです。
コンサルティングファームのM&A
大手の総合系、会計系のコンサルティングファームは、グループ会社か事業部単位でM&Aのアドバイザリー業務を担当する部署があります。
コンサルティングファームのM&Aアドバイザリーは、売り手側ではなく、買い手側に対して「事業計画から考え、今後どの企業を買収すべきなのか」といった買収のアドバイスをおこないます。
コンサルティングファームでM&Aをおこなっている企業には、以下のものがあります。
- デロイトトーマツコンサルティング
- PwCコンサルティング
- アクセンチュア
- KPMG
- EY Japan
投資銀行に比べると比較的幅広いバックグラウンドにて採用を行っています。
税務業務を行っていた税理士や大企業における財務部門の方など高い専門知識・経験をお持ちの方を積極的に採用しています。
会社の数もかなり多く、採用方針・ターゲットも多岐に渡ります。ファームによっては簿記2級程度の知識があれば、入社後社内で教育するといったファームもある他、場合によっては完全未経験・ファイナンススキルなしの方でも、志望理由が明確で成長意欲をアピールし、伸びしろがあると面接官に判断されれば採用されるケースも少なくありません。
M&A仲介会社
主に中堅・中小企業を担当し、事業再編、事業承継を目的に仲介する企業です。買い手側と売り手側のどちらかにつくアドバイザリーとは異なり、両社の間に入りマッチングと交渉を主な業務とします。
業務内容については買い手企業や売り手企業の発掘が主業務となっており、金融機関で営業経験のある人材などが好まれる傾向にあります。
未経験からM&A業界へ転職する際は、年齢が若い方が有利になる傾向が高いため、少しでもM&A業界に関心をお持ちの方は早めに転職活動や転職エージェントに相談することをお勧めします。
- 日本M&Aセンター
- ストライク
- ファンドブック
- M&Aオンライン
一般事業会社のM&A担当
銀行や証券、コンサルティングファームのアドバイザリーとしてではなく、会社内の投資部門などに所属し、M&A案件の立案と実行を担当します。
M&A案件のみに関わるアドバイザリーとは異なり、専門業務以外にも幅広い業務にも取り組むのが大きな特徴だといえます。
求められる人材はM&A業務を経験しており、即戦力として活躍できる人です。コンサルティングファームなどでM&Aの経験を積んだ人のキャリアパスと考えたほうが良いでしょう。
各事業会社におけるM&Aポジションは、M&A経験者の採用ニーズが高い状況です。
特に積極的採用を進めている企業としては、総合商社、製造業や小売業を中心としたメーカー、ヘルスケアやIT、WEB領域の大手メガベンチャーなどが挙げられます。
M&A業務の専任担当としての募集は勿論のこと、M&Aを含めた幅広い業務に従事することができる経営企画ポジションもオープンになっています。
しかしながら、募集枠は各社1~2名とかなり少数となっておりますので、メガベンチャーやIPOを視野に入れているベンチャーへのキャリアを検討されている場合は出来る限りお早めに進められることをお勧めいたします。
(応募書類等のご準備を経て、いざ応募となった際に採用クローズとなっているケースも少なくありません)
M&A業界への転職で求められるレベルと難易度
M&A業界への転職は、基本的に金融業界の実務経験が求められるので、転職難易度は非常に高いのが特徴です。
M&A業界の採用市況は、一般論ではありますが、案件が大きくなればなるほど採用難易度が上がると考えて頂いてよいかと思います。
しかし、「FAS」と「M&A仲介」会社ではそもそも仕事内容が異なりターゲットが大きく異なるということもありますので一概には言えません。
また、採用求人ポジションは、業績や採用タイミングなど会社ごとの事業状況によって大きく異なります。
採用ニーズの変化は、日常茶飯事ですのでケースバイケースととらえつつ、概略的に情報収集して頂ければと思います。
また、一人で転職先を探すよりも、転職エージェントを使った方がはるかに効率良く会社を探せます。
とくに銀行・証券・ファンドのM&Aと一般事業会社のM&Aは即戦力として活躍できる実務経験が必要なので、未経験からM&A業界へ転職したい場合は「M&A仲介会社のM&A」もしくは「コンサルティングファームでM&A案件で経験を積んでから、M&Aアドバイザリーを目指す」のが狙い目です。
【コンサルティング支援に特化】約5000名の現役コンサルタント・20,000名の転職志望支援で得たノウハウも提供中【アクシスコンサルティング】
M&A業界への転職に有利なスキル・経験・資格・学歴は?
M&A業界で求められるスキルは業界の中でもどのカテゴリーの会社への転職を目指すかによって異なります。
大きくFAとM&A仲介で仕事の流れや、フェーズごとの重要度や粒度が異なりますが、基本的な流れは、案件発掘(ソーシング)→案件化→M&A案件の実行(エグゼキューション)→経営統合(PMI)です。
※FA、M&A仲介会社はPMIまでは支援していません。
コンサルティングファームのPMIチームや、FASなど専門会社が担当するケースが一般的です。
ここからは、業界の各プレイヤーに求められるスキルに関して概略的に触れていきたいと思います。
投資銀行/M&A
シニアは基本的に案件獲得力が求められるため業界の経営幹部とのネットワークや提案能力が重要です。
若手や未経験者に関しては、エクセルやパワーポイントによる資料作成能力、財務モデリング能力、コミュニケーション能力、そしてそれらを支える思考力が求められます。特段必須の資格はありません。
高学歴を好む業界ですので国内主要国立大学、名門私大、海外大卒が基本となります。
英語力に関しては外資系投資銀行は必須、日系も必須よりの尚可ととらえていただくと良いかと思います。帰国子女がより好まれます。
FAS/M&A
シニアは投資銀行と同じく案件獲得力が求められるため業界の経営幹部とのネットワークや提案能力が重要です。
若手や未経験者に関しては、会計の基礎力やエクセルやパワーポイントによる資料作成能力、財務モデリング能力、コミュニケーション能力、そしてそれらを支える思考力が求められる点は投資銀行と同じです。
一方で会計系の資格を好むファームが多く、公認会計士やUSCPA、簿記といった資格を保有していると有利でしょう。
学歴に関しては良いに越したことはありませんが投資銀行に比べると優先度は高くなく、資格や実務経験重視の業界です。
英語に関してはグローバルファームの場合はある程度コミュニケーションがとれると良いですが、国内系のFASで中堅企業未満のクライアント規模が多い場合は必要ありません。
M&A仲介
求められるスキルは「営業力」×「地頭」×「財務の基礎力」と考えて頂くと良いかと思います。
中でも営業力に関しては下記を基準として頂ければよいかと思います。
- 営業経験2年以上(上位営業成績)
- 新規営業の経験(法人営業なら尚可)
- 経営者等、最高意思決定者との商談、折衝の経験
業界問わず、金融機関、商社、不動産会社、MR/MS、人材サービス、Iメーカー、IT企業などの各業界の大手各社で高い成果、実績を挙げている方を採用しています。
ファイナンスの知見においては入社までに必須としている企業は多くないものの、簿記2級レベルの知識を推奨としている企業もあります。
M&AアドバイザリーとM&A仲介の仕事内容の違いとは?
M&A支援を生業とするプレイヤーには買い手・売り手のいずれか片側と契約し「アドバイザリーサービス」を提供するM&Aアドバイザリーと、買い手・売り手の間に入り「M&Aを成約に導く」M&A仲介があります。
厳密にはM&A実行フェーズにおいて、会計事務所や買収資金の融資をお願いする金融機関など複数のプレイヤーと連携しプロジェクトを進めますが、ここではM&A案件のフロントに立つM&AアドバイザリーとM&A仲介に焦点をあてて話を進めます。
M&Aアドバイザリーは買い手あるいは売り手の片側につき、クライアント利益の最大化を目指すことを職務とします。
そしてM&Aにおける多様な論点を整理し、難易度の高いエグゼキューションを遂行する点に提供価値を置いております。
一方、M&A仲介は、買い手に対してはニーズに合致する譲渡企業(売り案件)の発掘(ソーシング)、または売り手に対する譲受企業(買い手)の発掘が最大の価値です。
そして売り手と買い手のマッチングができると、互いの利害を調整しながら案件を成約まで導くことに提供価値をおくケースが一般的です。
未上場企業であれば、片側のアドバイザリー契約で進めるか仲介契約で進めるかは、顧客の好み次第です。
一方上場会社などより、客観的なM&Aを行う理由や企業価値選定根拠が必要な会社あるいはそれを求めるオーナーの場合は買い手、売りてそれぞれがアドバイザリー(FA)をつけて案件を進めることが一般的です。
小規模な案件の場合、対価となる手数料の問題もあり、対応できるM&Aアドバイザリー会社が少ないため、中小企業のM&Aは仲介契約で行うという商慣習が生まれた歴史的背景があります。
M&A業界へ転職するメリット
M&A業界へ転職するメリットですが、主に5点あります。
- 成長が見込める業界である
- 給与が高い
- 専門スキルが身につく
- 独立につながる
- 実力主義
「成長が見込める業界」
成長している理由としては、「後継者不在」と「M&Aの認知度向上による中小企業への一般化・浸透」です。
日本では企業全体の90%が中小企業のオーナー経営です。
この90%を占める中小企業の大半は、日本の成長期に創業した会社で、現在経営者の平均年齢は62歳前後とまさに次の世代に事業承継するタイミングとなっています。
また、これまではM&Aと家は上場企業といったイメージが世間に浸透しておりましたが、中堅中小企業における需要の高まりと、M&A仲介業者の増加によって世間的な認知度が高まり、上場企業だけでなく、中堅中小企業にも一般化され始めています。
ですので、2009年のリーマンショック以降、国内におけるM&Aの成約数は毎年伸びており、今後も、後継者不足により事業承継型のM&Aを筆頭に、海外企業や競合他社、異業種との成長戦略型のM&Aが活発になり、向こう10年から15年は非連続的に成長していくでしょう。
「給与が高い」
上場企業年収ランキングで堂々の1位を獲得しているM&Aキャピタルパートナーズを始め、GCA、ストライク、日本M&Aセンターも年収ランキングの上位に入っています。
給与が高い理由としては「高い仲介手数料・高い利益率」と「高い生産性」になります。
仲介手数料の体系は企業によって多少の違いはありますが、複雑な業務で専門知識を使うこと、大きな資金を動かすこと、半年から1年程度かけて案件に取り組むことから、1名当たりの業務負荷がかなり高いことから、高価な手数料設定になっています。
また、通常1案件に対しては、大体2~3名のアドバイザーで取り組むことが多く、億単位の案件をこの人数でこなすため、圧倒的な生産性を維持していることが要因として挙げられます。
「専門スキルが身につく」
M&A業界では複雑な業務内容の上に、専門的な知識が必要となってきます。
主に使う専門知識は、以下の通りです。
- 会計
- 税務
- 法務
- 金融
これらの専門知識は他業界や他業種に行っても流用しやすく、世の中から需要も高いことから、自身の市場価値を高めることができるでしょう。
「独立につながる」
上記のような会社に関連する専門知識を持っていれば、M&Aコンサルタントとして独立する事は難しくありません。理由としては、コストがかからず、体1つでできるからでです。
また、M&A業界は会社にクライアントがつくのではなく、個々のアドバイザーにつく傾向があるので、一定期間経験を積めば、人脈を活用した独立も可能となりますので、将来独立を考えている方が志望する傾向にあります。
「実力主義」
業界の属性的に大半のM&A会社は年功序列型ではなく、完全に実力主義です。
給与体系もインセンティブの割合が多く、年次関係なく成約数と金額によって年収が決まります。
ですので、いわゆる日系大手企業のような年次を重ねれば、役職や給料が上がる分ければない分、若い年次からも成績次第で役職や高年収を得ることができるので、非常にやりがいのある業界になります。
M&A業界へ転職するデメリット
次にM&A業界へ転職する事のデメリットをご説明させていただきます。デメリットとしては、主に3点になります。
- 実力主義
- 時期によってが仕事がハード
- 常に勉強が必要
まず一つ目の「実力主義」に関しては、メリットの部分でお伝えしましたが、人によってはデメリットになります。
理由は、成果に対してシビアな評価をされるためです。給与体系を見てみるとほとんどのM&A仲介会社がインセンティブで稼ぐ設計になっています。よって、成果を出せない人に関しては、基本給のみの支給となります。
大手企業のように福利厚生が充実していて、年を重ねれば徐々に年収や役職が上がってくことに自体に魅力や喜びを感じている方にはあまりお勧めできません。
中途半端な気持ちで「稼げそう」、「なんとなく市場価値が上がりそう」といった動機で選考に進むのではなく、「少子高齢化で社会問題になっている経営者の承継問題に取り組みたい」「専門性を高め市場価値を高めたい」、「年功序列の制度ではなく、実力主義の会社で成果を残したい」、「将来起業するための土台を作りたい」等の確固たる意思や軸を持って挑戦する事をお勧めします。
2つ目は「時期によって仕事がハード」についてです。
何処の業界にも繁忙期・閑散期はありますが、M&A業界の繁忙期は平均残業時間が大体80時間から100時間程度と忙しくなるため、終電での帰宅や案件の進捗によっては、徹夜する日もあるでしょう。
1案件のみを担当するわけではなく、年間を通して1~5件程度の案件を同時並行して進めていくため、案件が重なれば必然的に仕事はハードになりますし、M&A業界に在籍しているうちは毎年、こういった仕事の進め方をしていくため、人一倍の体力・気力・精神力が必要となります。
最後に3つ目の「常に勉強が必要」についてです。
ある程度の経験を積めば特段勉強する必要がないというわけではなく、1案件1案件、同じ案件は全くないため、各企業ごとのビジネスモデルや業界理解のインプット・アウトプットが必要となります。対経営者への営業を行うため、最低でもその業界に精通している経営者と同等の業界知識・ビジネスモデルの知識を有していないと、初回訪問の段階で信頼を失ってしまい、機会損失になるからです。
また、法の改正が頻繁に行われるため、アドバイザーは日々高いアンテナを張って情報収集する必要があります。
M&A業界に特化したエージェントに相談しよう
未経験からM&A業界への転職は、他業界に比べても比較的難易度の高く、現職業務の実績と徹底した準備がになります。
ただ一方で、業界全体として情報がブラックボックスされている為、出回っておらず転職情報や入社後のビジョンがわかりずらいのも事実です。
そこで、エージェントの活用がポイントになってきます。
ただ、一言にエージェントといってもそれぞれ得意不得意な業界業種があるため、M&A業界に精通したエージェントの選定が必要です。
どこのエージェントを使うかで数十%の内定率が変わり、内定までのサポート体制も雲泥の差があるため、慎重に選ぶ必要があるでしょう。
M&A業界に転職するためには転職エージェントの利用も1つ検討をおすすめします。
企業の人事とコネクションを持っていて、企業・職種ごとに異なる必要な面接対策やアドバイスをしてくれます。
ただ、転職エージェントによって得意な分野が異なるので、大手転職エージェントの中から2〜3社、特化型転職エージェントの中から1社程度、複数登録することをおすすめします。
複数登録することで、それぞれを比較しながら、最終的に1番相性が合う1社に絞れるのでおすすめです。
金融・M&Aに強みがある転職エージェント【コトラ】
もう1社、あまりご存知の方が少ないかもしませんが、ハイクラス人材紹介サービスの【コトラ】というサービスがあります。
コトラは、金融、コンサル、IT、製造業などのミドル層からエグゼクティブ層の支援に強みがあります。
特に金融系のファームに強く、銀行や証券、ファンド、不動産金融などの金融スペシャリスト、製造業の各業界のハイクラス層、戦略コンサルや財務アドバイザリーのコンサルタント、メーカー等事業会社の経営職や管理系のポジションなど、2000社以上の中から、支援をされています。
【転職サポートの一例】
・監査法人での財務DD→バイアウトファンドの投資プロフェッショナル(30代、男性)
・不動産ファンドでの不動産鑑定・評価→レンダーでの不動産鑑定・評価(30代、男性)
・FASでの財務DD→大手総合商社の海外子会社経営企画(30代、男性)
・銀行での不良債権投資→FASでの企業再生コンサルティング(30代、男性)
・外資系コンサル→ブティック型財務アドバイザリー(20代、男性)
丁寧かつスピード感が定評なエージェントといえます。
あまり聞いたことがない転職エージェントだとは思いますが、実は知る人ぞ知る転職エージェントです。元転職エージェントとしておすすめしたい点としていくつかポイントがありますので、お伝えします。
独自の審査基準に基づき業務提携
ユーザーの方に高品質なサービスを届けるため、精通した転職サービスを掲載しております。
- 特定の業界/職種への支援に精通し、支援実績などのエビデンスの提出が可能なサービスかどうか
- サービスの利用、サービスを運営する企業へ直接訪問等を行い、ユーザーにとって良いサービスを提供できるかどうか
- 転職支援のプロからみても、サービスに定評があるか など
独自基準をクリアした”転職サービス”を掲載していますので、よろしければご活用ください。