【M&A業界から転職】M&A仲介からの転職・面接対策・気になる年収・転職難易度をプロが教えてます!

私はこれまでに4,000名以上のキャリア支援を行ってきた現役キャリアアドバイザーとして、M&A業界出身者の転職相談も多数受けてきました。
特にM&A仲介企業からの転職を希望される方の多くが、激務・報酬・スキルの汎用性に関する悩みを抱えており、業界特有の構造や転職市場の動向を正しく理解していないことでミスマッチが起こるケースも散見されます。
本記事では、M&A仲介からの転職に関するすべてを網羅的に解説します。
M&A仲介出身者は転職市場でどう評価される?
M&A仲介業務は、高度な営業力・交渉力・財務知識が求められる職種であり、一定の成果を残している人材は、転職市場でも高く評価されます。特に30代前半までであれば、金融・コンサル・SaaSなどの無形商材営業職への転職も十分に可能です。
短期離職の場合は書類選考で不利になります。書面では伝わりづらい魅力を転職エージェント経由でアピールしてもらうのも1つです。

M&A仲介からの転職先一覧
転職先として多いのは以下の業界・職種です。
- コンサルティングファーム(戦略・FAS・組織人事)
- 投資ファンド(PE、ベンチャーキャピタル)
- 事業会社の経営企画・事業開発
- スタートアップのBizDevやCXO候補
金融リテラシー、意思決定スピード、プレゼンテーション力を評価されるケースが多く、業界・職種の広がりは年々拡大しています。
コンサルティングファーム
まず、コンサルティングファームはM&A業界出身者にとって人気の高い転職先です。特に、戦略コンサルティングやファイナンシャルアドバイザリーといった分野では、M&Aに関する専門知識が評価されます。企業戦略や事業再編の提案を行う中で、M&A経験は大いに役立ちます。
投資ファンドやプライベートエクイティ(PE)
次に、投資ファンドやプライベートエクイティ(PE)も有望な選択肢です。M&A業務を通じて培った企業価値評価や財務分析のスキルは、投資判断やポートフォリオ管理に直結します。PE業界では、買収後の企業運営や成長戦略の実行支援などの業務に携わることができ、M&A経験が即戦力として期待されます。
事業会社の経営企画や財務部門
また、事業会社の経営企画や財務部門への転職も一般的です。特に、企業の成長戦略を担う経営企画部門では、M&Aを通じて得た視点や戦略立案能力が評価されます。企業の財務部門では、資本政策や買収案件の検討に関与することが多く、M&Aでの財務分析力が求められます。ただ事業会社への転職は採用ハードルが非常に高いため対策が必須です。
スタートアップやベンチャー企業
さらに、スタートアップやベンチャー企業も近年、M&A業界出身者を積極的に採用しています。スタートアップでは、資金調達や事業拡大のための戦略策定にM&A経験が活きるため、経営に近い立場で活躍できる可能性があります。また、急成長中の企業では、事業拡大のための買収やパートナーシップ構築に関与する機会が増えています。
その他、銀行や証券会社のM&A部門や、企業法務といった領域でもM&Aに関する知識と経験が求められます。銀行や証券会社では、企業の資金調達やM&Aアドバイザリー業務を担い、企業法務ではM&Aに伴う契約や規制対応を専門的に扱うことができます。
M&A仲介から事業会社への転職が難しい理由とは?
M&A業界、とくに仲介会社出身者が「事業会社のM&A担当」や「経営企画職」へ転職する際、想定以上に難易度が高いケースが多くあります。これは単にスキルセットや知識の問題だけではなく、企業側が求める役割や業務の性質に根本的な違いがあることが背景にあります。
事業会社のM&A部門や経営企画職は、「ディールのその先」に重きを置きます。企業の中長期的な戦略やシナジーの創出、PMI(買収後統合)の推進までを見据えて、慎重かつ多角的にM&Aを捉えます。そのため、ファイナンスの知識だけでなく、事業戦略、オペレーション、人材マネジメント、カルチャーフィットまで視野に入れた検討が求められます。
転職活動ではこの視点のギャップこそが、仲介出身者が事業会社への転職で苦戦する要因です。仲介で数多くの案件を回してきた実績はあっても、「なぜその案件をその戦略で実行したのか」「買収後の価値創出にどう関与したか」といった問いには答えづらい場合も多いためしっかり準備することをおすすめします。「再現性がある戦略思考か」「自社の成長に資する視点を持っているか」が評価になります。
M&A業界の年収は高い?転職後は下がる?

M&A仲介業界は、成果報酬型のインセンティブが大きく、年収1,000万円超の若手も珍しくありません。ただし、ベース給与は意外と低めで、成果によって年収が大きく上下する構造になっています。
転職後は、給与が一時的に下がることが一般的です。特にワークライフバランスを重視した事業会社などでは、ベースは上がるもののインセンティブがなくなるため、結果として年収は下がる傾向にあります。ただし、安定した報酬や福利厚生、休暇制度を求める人にとっては、十分に納得できる条件と言えるでしょう。
親和性が高い業界・職種であれば年収UP・もしくは維持することができます。一方で経験が活かせない領域は年収が下がる傾向があります。現状の年収を下げてまで転職したいのか?「年収」と「どのような条件」を交換するのかポイントになります。

転職活動のタイミングと進め方
M&A業界は“在職中の転職”が一般的です。退職後に動くと、年収面や市場価値の交渉で不利になる場合があります。
また、機密性が高い業務であるため、レジュメの作成時には「公開できる情報」と「守秘義務とのバランス」を十分に配慮しながら整理しましょう。
M&A仲介からの転職理由と“伝え方”が重要
M&A仲介からの転職理由として多いのは以下です。
- 長時間労働やプレッシャーによる心身の負荷
- ノルマ至上主義による評価制度への違和感
- 30代以降のキャリアに不安を感じる
- 結婚・出産・家庭との両立を重視したい
これらの理由をそのまま伝えると“逃げの転職”に映る可能性があります。大切なのは「経験を通じて得たスキルや視座」をポジティブに伝えた上で、「次にどう貢献できるのか」を具体化することです。必要に応じて信頼できる方に壁打ちをしても良いでしょう。
転職サービスにて面接対策を依頼するのが今は”主流”です。

M&A出身者が面接で落ちやすい理由とは?
・圧迫感がある、威圧的に見られやすい(高圧的営業スタイルの影響)
・現職の批判が目立つ(退職理由がネガティブ)
・志望動機が「労働時間が…」で終わってしまう
この3点は非常に多く見られるNG例です。面接では「なぜその企業・業界なのか」「自分がどのように貢献できるのか」を具体的に語れるようにしておきましょう。
M&A仲介から転職:転職エージェントの活用を
手前味噌ではありますが、M&A出身者の転職は、単なる求人マッチングではなく、経歴の“翻訳”が求められます。企業側は「優秀そうだが、社風に合うのか?」「長期的に働けるのか?」といった懸念を抱くため、職務経歴書や面接での“言語化力”が重要です。
こうした部分を補完し、候補者に代わって企業に説明を加えてくれるのが転職エージェントの役割です。M&A業界を理解したエージェントを選ぶことで、面接通過率は大きく変わります。
まとめ:M&A業界からの転職は、“戦略的に動く人”にチャンスがある
M&A仲介出身者は、スキル・ポテンシャルともに市場価値が高い存在です。しかしその一方で、カルチャーフィットや志望理由の言語化など、選考突破には準備が必要不可欠です。
転職に迷っている方は、早めに“情報収集”を始めることをおすすめします。相談は無料なので、まずは自分の市場価値を知ることから始めてみてください。
次のキャリアをどうするかを考える際には、まず自身のキャリア目標を明確にし、その上で転職先を選ぶことが重要です。