【プロが解説】20代で転職の書類選考が通らない理由と改善策

20代で転職を志す方から「書類が通らない」「面接まで進めない」という声を多くいただきます。筆者は4,000名以上の転職支援を行ってきた元人事責任者で、現在は転職エージェントとして20代の支援に特化しています。この記事では、書類選考でつまずく原因と、その改善策をわかりやすくお伝えします。
書類通過率が低い場合はどれくらい?
※注意点:応募企業には原則として、1年以内の再応募ができないケースが多く存在します。応募履歴が残っていると、同じポジションに再挑戦できないこともあるため、むやみに数多くの企業に書類を送るのではなく、“通過する確度が高い書類を出す”ことが大切です。闇雲に応募するよりも、1社ごとに丁寧に準備する姿勢が、結果として選考通過と内定獲得の近道になります。

一般的に、書類選考の通過率は20〜30%程度が平均的とされています。つまり、10社応募して2〜3社通過すれば妥当なラインです。反対に、10社以上応募して1社も通過しない、もしくは通過率が10%を切っている場合は、内容や見せ方に改善の余地があると考えられます。
特に20代は経験よりも将来性が評価されやすいため、書類上で“伝え方”に失敗しているケースが多く見られます。現在の通過率を確認し、基準値と比べて低い場合は、プロによる添削やフィードバックを取り入れるのが有効です。
書類通過率が低いときにチェックしたいポイント
通過率が極端に低いと感じたときは、次のような点を見直してみましょう。
- 書類に誤字脱字がある(基本的なミスでも印象が大きく下がる)
- 応募企業の「必須要件」だけでなく「歓迎要件(Want)」にも合っていない
- 短期離職や空白期間など、マイナス印象につながりやすい経歴の補足説明がない
- 職務経歴書に定量的な成果が記載されていない(例:売上、件数、改善率など)
これらを一つずつ丁寧に見直すだけでも、書類の完成度は大きく変わり、通過率向上につながります。
20代はポテンシャル採用の対象になりやすく、実は書類通過率が高くてもおかしくない年代です。それでも通らない理由の多くは「内容そのもの」より「伝え方」の工夫不足にあります。
志望動機が企業とマッチしていない、職務経歴書が単なる業務の羅列になっている、短期離職の理由が曖昧で伝わらない——こういった“もったいない書類”が多く見られます。見た目や構成、文のトーンも含め、第一印象が左右される点を忘れてはいけません。

採用担当が重視するのは「会いたくなるか」
どれだけ魅力的な経歴でも、「会いたい」と思わせる書類でなければ通過は難しいのが現実です。企業への理解、自分の強み、それがどう活かせるかが一貫して伝わる書類には、人事も自然と目を留めます。
逆に、「どこにでも言えそうな志望動機」や「ネガティブな転職理由」は一瞬で信頼を損ないます。20代であっても、構成や表現次第で印象は大きく変わります。
書類作成で意識すべきポイント
履歴書に顔写真は必要?
多くの日本企業では、履歴書に顔写真を添付するのが慣例となっています。写真がない場合、「準備不足」と受け取られることもあるため、基本的には添付するのが無難です。
最近はスマホアプリでの撮影も増えていますが、背景に生活感が出てしまうと、「この人は印象管理ができていない」と見なされかねません。できるだけ無人証明写真機・写真館などで撮影し、清潔感のある服装と背景で3ヶ月以内の写真を用意しましょう。
転職サービス登録時も最新の書類を
エージェントや転職サイトに登録する際も、履歴書や職務経歴書は必ず最新の内容にしておくべきです。中には、登録内容をそのまま推薦や企業送付に使うサービスもあり、内容が薄いとそれだけで不合格になることもあります。
20代はキャリアが浅いため、わずかな情報不足でも大きな差になります。正式応募でなくても「選考の一部」と考え、しっかり整えておきましょう。
履歴書で見られる視点
履歴書では、志望動機や転職理由、空白期間の有無が重視されます。1年未満の職歴がある場合は、備考欄や職務経歴書でその背景を説明しましょう。他責ではなく、自身の判断や成長の視点でフォローすることが大切です。
伝え方に迷う場合は誰かに見てもらうのも1つです。

職務経歴書で問われるのは成果と再現性
職務経歴書は、単なる業務の羅列では意味がありません。「どんな課題に対し、どう取り組み、どんな結果を出したか」を明確にしましょう。たとえば「1日30件の問い合わせ対応を行い、クレーム率を前年比20%削減」など、具体性と数字を交えて伝えると効果的です。
自己PRは職務経歴書に記載するのが主流です。抽象的な性格表現ではなく、行動と成果から導き出される強みを言語化しましょう。
カジュアル面談=選考外とは限らない
最近では、応募前の“カジュアル面談”を導入する企業が増えていますが、実はこの時点から選考が始まっているケースも少なくありません。
さらに、転職サービス登録時の内容を企業が閲覧し、そのまま選考対象とすることもあるため、「まだ応募じゃないから適当でいい」は禁物です。最初から“見られている”前提で、書類は常に整えておきましょう。
書類作成でよくある誤解
「未経験だから書くことがない」「自分に強みなんてない」——そう感じる方ほど、書き方次第で損をしています。
20代ならではの柔軟性や吸収力、チームでの工夫や失敗からの学びなど、アピールできる材料は必ずあります。それを“ビジネス文書”として整理し、相手に伝える視点が欠かせません。
書類は自己紹介ではなく、「選ばれるためのツール」です。丁寧に書けば、必ず通過率は上がります。
プロのサポートで通過率を2倍に
実は、書類で落ちる人の多くは「能力不足」ではなく「書き方がもったいない」だけの場合があります。構成や表現、見せ方を少し変えるだけで、評価が一変するケースは珍しくありません。
転職エージェントでは、履歴書・職務経歴書の無料添削を受けることができます。「志望動機が浅い」「成果が伝わらない」など、弱点を明確にし、改善案を提示してくれるため、一人で悩まずに済みます。
あとがき|伝え方ひとつで、未来は変えられる
読者の皆様が、この記事を通じて少しでも転職やキャリアについて正しい知識を得られ、今後のステップを前向きに考えられるようになれば幸いです。転職活動は不安も多いものですが、しっかりと準備をし、自分自身の強みや希望を明確にすることで、次のステージに向かって大きな一歩を踏み出せるはずです。これからのキャリアが、皆様にとってより良いものとなることを心より願っています。