【実情解説】人事職にフルリモート求人が少ない理由とは?転職前に知るべき現実〜人事監修〜

人事職はバックオフィス系の代表格でありながら、他職種に比べてフルリモート求人が圧倒的に少ない傾向にあります。本記事では、これまでに4000名以上の転職支援を行ってきたキャリアアドバイザーの視点から、「なぜ人事職ではフルリモートが少ないのか」「どんな業務ならリモートが可能なのか」「今後の可能性」について、結論ファースト形式でわかりやすく解説します。
人事職がフルリモートになりづらい最大の理由
人事職にフルリモート求人が少ないのは、対面でのコミュニケーションと機密情報管理の両面で、現場対応が求められるからです。
採用面接、オンボーディング、社員面談など、非言語情報を含めた対応が必要な業務では、対面での関係構築が重要視されます。また、給与や勤怠データ、個人情報などの機密性が高い情報を日常的に扱うため、セキュリティ上、社内ネットワークでの業務を前提とする企業が多いのが現実です。
マネジメント職が特に出社を求められる理由
人事の中でもマネジメントポジションは、フルリモート化が特に難しいとされています。理由は2つあります。
ひとつは、経営層との密な連携や意思決定プロセスに関わる場面が多く、リアルタイムな対話や空気感の共有が必要であること。もうひとつは、組織文化の浸透や現場感覚の把握が求められるため、出社を通じて現場との距離を近く保つ必要があることです。
こうした背景から、マネージャーやリーダークラス以上のポジションは、ハイブリッド勤務やフル出社が条件になるケースが多い傾向にあります。
メンバークラスであればフルリモートも可能?
一方で、採用広報や研修設計、労務処理などの業務を担うメンバークラスでは、フルリモート勤務が実現できるケースも増えています。
たとえば、採用ページやオウンドメディアの運用、SNSによる広報活動、eラーニング設計、クラウド型人事システムを活用した労務管理など、ツールと仕組みが整っていれば場所を問わず対応が可能です。実際、スタートアップやSaaS企業などでは、こうした役割に限定したフルリモート求人が登場しつつあります。
データで見るフルリモート求人の現実
2024年にdodaが公表した調査によると、人事職の求人において「完全在宅(フルリモート)可能」と明記されているものは、全体のわずか約6%にとどまっています。
一方、「週2〜3日出社」のようなハイブリッド勤務を前提とした求人は、約40〜50%と半数近くを占めており、一定の出社を前提とする柔軟な働き方が主流であることがうかがえます。完全リモートはまだ限定的であるものの、段階的に柔軟な働き方が広がってきているのは事実です。
業界・企業規模で異なるリモート可否の傾向
企業の規模や文化によっても、リモート勤務の可否は大きく異なります。特にエンタープライズ企業や老舗企業では、「人材マネジメント=現場との対話」と考える傾向が強く、出社文化が色濃く残っているケースが目立ちます。
一方、HRテックを活用するスタートアップや、グローバル展開を進める企業では、業務設計が柔軟なため、リモート勤務がしやすい傾向にあります。求人票だけでなく、企業カルチャーや導入ツール、働き方に関する口コミなどもあわせて確認することが、求人選定の精度を高めるポイントです。
フルリモートで働きたい人事職希望者へのキャリア戦略
フルリモート勤務を希望する場合、いきなり人事職の正社員として完全在宅を目指すのではなく、業務範囲を絞ってキャリアをスタートさせるのが現実的です。
具体的には、採用広報、ダイレクトリクルーティング運用、クラウド労務管理の導入支援など、リモートでも遂行しやすい業務領域に特化するのが効果的です。また、副業や業務委託からスモールスタートして、実績を積みながら正社員化を目指すルートも注目されています。
キャリア戦略としては、「まずは週2〜3日出社のハイブリッド求人で実績を積み、のちにフルリモートへシフトする」というステップも十分現実的です。働き方の柔軟性を求めるのであれば、職種の選び方だけでなく、転職後のキャリア設計にも目を向けることが重要です。
人事職で副業はできる?複業キャリアの可能性
近年は「副業から人事キャリアをスタートする」動きも増えています。特に、ベンチャーやスタートアップでは、業務委託や週数時間単位での採用アシスタント・労務支援といった業務を外部に委託するケースが増えており、実務経験を副業で積むチャンスが広がっています。
本業で営業職や広報をしている方が、副業で採用広報やダイレクトリクルーティング運用を経験し、のちに人事として正社員転職に至った事例もあります。フルリモート希望者にとっても、副業は「自分の適性を試しながらキャリアを広げる」手段になり得るでしょう。
フルリモート勤務を希望する場合、いきなり人事職の正社員として完全在宅を目指すのではなく、業務範囲を絞ってキャリアをスタートさせるのが現実的です。
具体的には、採用広報、ダイレクトリクルーティング運用、クラウド労務管理の導入支援など、リモートでも遂行しやすい業務領域に特化するのが効果的です。また、副業や業務委託からスモールスタートして、実績を積みながら正社員化を目指すルートも注目されています。
キャリア戦略としては、「まずは週2〜3日出社のハイブリッド求人で実績を積み、のちにフルリモートへシフトする」というステップも十分現実的です。働き方の柔軟性を求めるのであれば、職種の選び方だけでなく、転職後のキャリア設計にも目を向けることが重要です。