【出戻り転職とは!?】メリットやデメリット、成功しやすい人についてコンサルタントが徹底解説
一度退職した会社に、もう一度入社する。以前であれば「出戻り転職」は少しネガティブに語られることもありましたが、今は企業側の見方も変わってきています。人材不足が続く中で、会社のカルチャーや業務を理解している人材を再び迎え入れることには、企業側にも大きな合理性があるからです。
一方で、出戻り転職は普通の転職より簡単そうに見えて、実は注意すべき点が多い転職でもあります。以前の評価や人間関係が残っているからこそ、うまくいくケースもあれば、かえって難しくなるケースもあります。単純に「知っている会社だから安心」と考えて進めると、入社後にギャップが出やすいのです。
本記事では、出戻り転職とは何かという基本から、メリット・デメリット、成功しやすい人の特徴、面接で見られるポイントまで、転職支援の現場目線で整理していきます。出戻り転職を検討している方はもちろん、「前職から声がかかったが、どう考えればいいか分からない」という方にも、判断材料として活用いただければと思います。
出戻り転職とは?
そもそも、出戻り転職とはどのようなケースを指すのでしょうか。出戻り転職は、「転職や独立などをするために一度辞めた会社に再度転職すること」を指します。
近年は、転職市場の流動化やアルムナイ採用の広がりもあり、「一度辞めた人は戻ってこない前提」で組織を考える企業ばかりではなくなりました。むしろ、他社経験を積んだ元社員が戻ってくることを、組織の強化につながる前向きな採用と捉える企業も増えています。
ただし、どの会社でも歓迎されるわけではありません。出戻り転職が成立するには、前回の退職理由、退職時の印象、退職後に得た経験、そして会社側の採用背景が噛み合う必要があります。つまり、出戻り転職は「昔いた会社に戻る」という単純な話ではなく、「以前の会社で、今の自分が再評価されるか」という話です。
これを読んでいる方のなかには「出戻り転職は難しそう」「一度退職した会社に戻るなんて稀なケースではないのか」と思う方もいらっしゃることでしょう。
出戻り転職は増加傾向
出戻り転職が増加している背景としては、さまざまです。
元々働いていた組織の文化や働き方がマッチしている場合が多く、以前の組織で構築した人間関係も大きな要素です。同僚や上司との良好な関係は、職場での満足度や業績に大きく寄与します。
出戻りの多くが「人間関係・組織風土のマッチ度」が高い方です。転職時は「スキルマッチ」「年収アップ」など様々な不満を抱えて活動をしますが、入社後のアンマッチを感じ出戻りを希望する社員が増えています。
ある調査で、35歳以上の社会人に「出戻り経験があるか?」というアンケート調査で10%が出戻り経験がありました。(10人に1人)
また、人事界隈(かいわい)では「アルムナイ採用」と呼ばれる採用手法があります。
これは、かつて組織で働いていた従業員(アルムナイ)を再び採用することを指します。アルムナイ採用をした社員は、別名「ブーメラン社員」とも呼ばれ、従業員が他の組織や産業で得た経験やスキルを活用して元の組織に戻る機会を提供します。
アルムナイ採用は企業側に大きなメリットがあります。
元の従業員は企業の文化、環境、プロセスにすでに精通していますので、彼らをオンボードする時間が大幅に短縮されます。
また、他の組織での経験や学びを持ち込むことができ、これにより新たな視点やアイデアが元の組織にもたらされます。
元の従業員はすでにその組織で働く能力があることが証明されているので、新たに採用する際のリスクが減少します。
しかし、全てが完全にポジティブというわけではなく、アルムナイ採用には注意点もあります。例えば、従業員が初めて組織を去った理由が解決していない場合や、彼らが新たな組織での経験を適切に組織内に活用できない場合などは注意が必要です。
出戻り転職のメリット
出戻り転職の最大のメリットは、相互理解があることです。通常の転職では、企業側も候補者側も入社してみないと分からないことが多くあります。しかし出戻り転職では、会社のカルチャー、仕事の進め方、評価制度、経営陣の特徴などをすでに理解しているため、ミスマッチが起きにくい傾向があります。
また、企業側から見ても、オンボーディングコストが低いというメリットがあります。会社のルールや事業内容を一から教えなくても一定の理解があるため、立ち上がりが早いと期待されやすいのです。特に人材不足が深刻な企業では、既存のカルチャーを理解した経験者を採れることは大きな価値になります。
候補者側にとっても、戻る会社に信頼できる上司や同僚が残っていれば、心理的な安心感があります。新しい環境に飛び込むストレスが相対的に小さく、転職後のパフォーマンスも安定しやすいでしょう。さらに、外で得た経験を持って戻ることで、以前より良い条件や上のポジションで再入社できるケースもあります。
即戦力として活躍できる
一つ目のメリットは、「即戦力として活躍できる」ということです。
かつては終身雇用制が一般的だった日本の働き方ですが、最近では転職へのハードルが低くなりつつあります。経験者・未経験者ともに転職市場は活発化傾向にあり、企業における「経験者の中途採用枠」も増加しています。
企業が中途採用を設ける理由のひとつには、即戦力を求めているという点が挙げられるでしょう。
その点において、出戻り転職者は、適切なスキルやノウハウを有したまさに「求める人材」。これまでの経験を活かして、存分に活躍することができます。
選考過程の短縮が可能
中途採用においては、通常「書類選考」からはじまり、複数回の面接を経て、内定が決まるケースがほとんどです。
しかし、出戻り転職者においては、人柄やスキルなどがあらかじめ分かっているということもあり、面接の回数が少なくなったり筆記試験が免除されたりと、選考過程の短縮が可能な場合もあるようです。
これは転職者がスピーディーに転職を決められるだけでなく、企業にとっても採用にかけるコストや時間を抑えられるというメリットがあります。
社風を理解している
社風をよく理解できているのも、出戻り転職のメリットのひとつです。通常の転職において、「どんな社風を持つ会社なのか」「その企業独特の文化や慣習があるか」などを理解するのは簡単なことではありません。
新しい会社に馴染むまでに一定の時間を要することもあるでしょう。
しかし、同じ会社に出戻り転職すれば、すぐに会社の雰囲気や業務に適応することができます。
また、働いているメンバーにも知り合いが多いため、スムーズな人間関係を築け、チームに馴染んでいけるのも利点です。
他社での経験を活かせる
出戻り転職者は、社内外のことを良く理解する貴重な人物となります。
第三者目線で自社のことを見られるため、強みや弱み、良い点・悪い点などをフィードバックすることで、会社の成長・発展のためのキーパーソンとなることでしょう。
また、他社で身に付けたノウハウやスキルを自社の業務に活かすこともでき、業務効率化やIT化の提案などで、会社が新しい文化を取り入れるきっかけになることもあります。
出戻り転職のデメリット
このように見ていくと、メリットが多く感じられる出戻り転職ですが、当然ながらデメリットもあります。
出戻り転職のデメリットとしては、
- 役職、待遇が同じとは限らない
- 再度同じ理由で退職してしまう可能性がある
- みんなが歓迎してくれるわけではない
といったものが挙げられます。
役職・待遇が同じとは限らない
一度退職をしている出戻り転職者が、同じ待遇・ポジションに戻れる保証はありません。
そのため、以前には部長職だった方が課長職からのスタートになってしまったり、給与が下がってしまったりすることもあるでしょう。
再入社してから「条件が全然違う」「給与が下がってしまった」などと不満につながることが無いように、戻る際にしっかりと条件面を確認しておく必要がありますが、そもそも出戻り転職においては「役職や待遇は同じとは限らない」ということを前提に考えておくことが大切です。
再度同じ理由で退職をしてしまう可能性がある
出戻り転職を検討している場合には、「そもそもなぜその会社を辞めてしまったのか」を再度振り返っておくことが大切です。
なぜなら、一度会社を辞めたのには必ず理由があるからです。その理由が解消されていない場合には、会社に再度戻ったところで、同様の理由でまた辞めたくなる可能性があります。
特に、人間関係には要注意です。人間関係が理由で退職した場合には、その点が改善されているのかをしっかり見極めなければなりません。
また一方で「会社の人間関係は良好だったから大丈夫」と思っていても、
●会社の体制が大きく変わり、上層部のメンバーが知らない人ばかりになっていた
●仲が良かったメンバーの多くが退職していた
●昔の部下が上司になっている
●自分がいなかった間に入ってきたメンバーと馴染めない
ということもあり得ます。社内の人間関係や雰囲気といった部分は外からは見えづらいことも多々あるため、転職にあたっては特に慎重に判断するようにしましょう。
みんなが歓迎してくれるわけではない
会社が出戻りを認めてくれたとしても、社員全員が出戻りを認めてくれているわけではありません。
なかには「一度退職した」という事実を良くないと思っている社員や、「この人が戻ってくるのか…」「戻ってくるくらいなら最初から辞めなきゃいいのに…」と出戻り転職者自身に良くないイメージを持っていることもあります。
場合によっては、昔部下だった社員が上司になっており、その人からすれば「以前上司だった人が部下になるのは、ちょっと扱いにくい」と思われることもあるかもしれません。
そのため、以前会社にいた時のイメージだけで転職を決めてしまうのではなく、しっかりと今の会社の状況を見極めたうえで、出戻り転職をすることをおすすめします。
出戻り転職に成功しやすい人とは?
ここまで、出戻り転職の現状やメリット・デメリットについて詳しく見ていきました。
最近は「出戻り」を好意的に受け入れてもらえるケースも増えてきましたが、とはいえ誰でも歓迎されるというわけではありません。
出戻り転職に成功しやすい人の特徴には、以下のようなものが挙げられます。
●在籍時に評価されていた人物であること
●在籍時の人間関係が良好だったこと
●前回の退職時には円満退社であること
●転職理由に明確な根拠があること
一つずつ説明していきます。
在籍時に評価されていた人物であること
在籍中に目覚ましい活躍をした方、目に見える実績があった方などは、出戻り転職を歓迎してもらえる可能性が高いです。
もともとの高い評価に加え、別の会社にいた時に得たスキルや経験を活かして、出戻り先の会社でもビジネスに大きく貢献すれば、その信頼は揺るぎないものになるでしょう。
在籍時の人間関係が良好だったこと
「会社を辞めるのを惜しまれるほど人望が厚かった」「退職時に、また一緒に働きたいと言ってくれるメンバーが多かった」という方も、出戻りの際にも快く受け入れてもらえる可能性が高まります。
逆に、在職中の成績は優秀だったけれど社員にはあまり良い印象を残せなかった、メンバーとトラブルがあったといった方は、やや出戻りのハードルが高いかもしれません。
前回の退職時には円満退社であること
「退職」という選択は、会社にとっても社内のメンバーにとってもマイナスの影響が大きいものです。そのため、円満退職であったかどうかは非常に重要なポイントになります。
出戻りの場合、退職時のことを覚えている社員も多いものです。
そのため、出戻り転職を考える場合には、まず「どのような理由で退職したのか」「退職時にトラブルがなかったか」「円満に退社できているか」などをしっかり振り返っておくようにしましょう。
転職理由に明確な根拠があること
出戻り転職においては、転職(出戻り)の理由に明確な根拠が求められます。
たとえば、出産・子育て・介護といったライフイベントのためやむなく退職し、両立がしやすい会社へ移ったといった場合、「子育てがひと段落したので、また元の会社でバリバリ仕事がしたい」などの理由は、比較的受け入れられやすいものです。
また、「前の会社で得たスキルを活かして、今回は○○といった分野で活躍したい」などでも出戻り転職の理由になるでしょう。
しかし、単に「人間関係に悩んで退職したものの、今の会社でもなんだかしっくりこず、また元の会社に戻ってみようかと思っている」といった安易な理由では、また同じ理由で退職する可能性もあり、出戻りを歓迎されないこともあります。
出戻り転職で失敗しやすい人とは?
出戻り転職に成功しやすい人がいる一方で、出戻り転職に失敗しやすい人がいるのも事実です。
失敗してしまう人の特徴としては、就業時・退職時に問題がある人や、在籍期間が短い人などが挙げられます。
就業時に問題があった
過去に上司や同僚とよく衝突していた、何度も遅刻・欠勤をした、会社のノルマやタスクを全くこなせなかった、といった方は、転職をしてもまた同じ結果になる可能性があります。
仮に、他社で経験や実績を積んでいたとしても、「あえてトラブルを起こすような人を選ぶ必要はない」と判断されることが多いようです。
在籍期間が短かった
企業が出戻り転職を受け入れるのには、「即戦力を採用したい」という理由があります。
在籍期間が短すぎる人材の場合には、企業が必要とするスキルや経験をまだ十分に身に付けられていない場合もあり、「即戦力として活躍してもらうのは難しい」と判断された場合には採用を見送られることも少なくありません。
また、採用から数か月~数年で辞めてしまった場合には、採用担当者から「またすぐに辞めてしまうだろう」と思われやすく、出戻り転職の可能性は低くなります。
出戻り転職をするには?
出戻り転職をするための方法としては、
●会社の求人募集ページなどから応募する
●当時の同僚や上司にコンタクトを取って採用のプロセスを聞く
●転職エージェントを利用する
といった方法があります。
会社の求人募集ページから応募する場合、特にライバルが多い状況では、一見すると「出戻り転職者」と判断しにくい部分もあり、出戻り転職者のメリットである即戦力が見落とされる場合も少なくありません。
一方、当時の同僚や上司にコンタクトを取るという場合には、直近の会社の状況や最新情報が聞けるため、出戻りのチャンスや関係性が作れるという上で大きなメリットになります。
ただし、そうした関係作りや情報交換が必ずしも「採用」に直結するわけではありませんので、「誰に出戻り転職のことを相談するか」という点は非常に重要と言えるでしょう。
出戻りで転職をする場合は、転職エージェントは使わず、会社の代表や仲の良かった上司、同僚に声をかけることをおすすめします。
一方で、出戻り転職を考えつつ、違う選択肢を検討する場合は、転職エージェントを活用するのも一つの方法です。
転職エージェントは、まさに転職のプロフェッショナル。転職を成功させるための秘訣はもちろん、会社の最新状況、採用傾向なども十分に把握しています。また、会社の人ではない第三者的な立場での意見を聞くことができる点、面接や書類の対策を行ってくれる点、キャリア相談に乗ってくれる点などもメリットです。
効率的に転職活動を進めていきたいなら、ぜひ積極的に活用していきましょう。
出戻り転職はしっかり考えたうえで行動に移そう
出戻り転職を成功させるための秘訣としては、「以前の職場を円満退社できたかどうか」が一つの重要なポイントになります。とはいえ、在職時や退職時に時間が巻き戻せるわけではありません。
そのため、出戻りだから比較的簡単に転職ができるだろうと安易に考えるのではなく、「なぜ自分は一度退職したのか」「改めて会社に戻る理由は何なのか」を深く考え、再入社した際のイメージをしっかり理解した上で行動に移したいものです。
再度「辞める」とは言いにくい点に注意
出戻り転職で覚えておきたいのが「再度辞めるとは言いにくい」という点です。仮に、退職理由が本人に落ち度がない場合であっても、出戻り転職者が再度辞める場合には「また辞めるんだ…」と周囲からの印象が悪くなる可能性は否定できません。
また、今回一度辞めて再雇用してもらえたから、次回も再雇用してもらえるかもしれない、という安易な期待は禁物です。再々の出戻りで雇ってくれる可能性は著しく低いことを覚えておきましょう。
面接で見られるポイント
出戻り転職の面接では、通常の転職以上に志望理由が重要です。採用側がまず確認したいのは、「なぜ一度辞めた会社に、いま戻りたいのか」という点です。ここに一貫性がないと、選考はかなり苦しくなります。
面接では、前回の退職理由と今回の応募理由が矛盾していないかを見られます。たとえば、「成長環境がない」と言って辞めたのに、今回も同じ部署に同じ職種で戻ろうとしている場合、説得力は弱くなります。反対に、「外で経験した結果、御社の事業フェーズや役割の魅力がより明確に見えるようになった」と言えると強いです。
また、退職後に何を得たのかも深掘りされます。ここで重要なのは、経験の“量”ではなく“変化”です。どんな経験をし、以前の自分と何が変わり、戻ったら何を還元できるのか。この流れで話せると評価されやすいです。
まとめ
出戻り転職では、覚悟感も見られます。採用側としては「またすぐ辞めるのではないか」という不安を持ちやすいからです。そのため、今回の転職が感情的な判断ではなく、十分に考えたうえでの意思決定であることを伝える必要があります。
出戻り転職は、決して珍しい選択肢ではなくなっています。ただし、以前いた会社に戻るということは、過去の自分と今の自分の両方を見られる転職でもあります。だからこそ、「なぜ辞めたのか」よりも「なぜ今戻るのか」を、自分の中でしっかり整理しておくことが大切です。
読者の皆様が、この記事を通じて少しでも転職やキャリアについて正しい知識を得られ、今後のステップを前向きに考えられるようになれば幸いです。転職活動は不安も多いものですが、しっかりと準備をし、自分自身の強みや希望を明確にすることで、次のステージに向かって大きな一歩を踏み出せるはずです。これからのキャリアが、皆様にとってより良いものとなることを心より願っています。



























