【弁護士から企業法務へ転職】インハウス・企業内弁護士の転職活動における面接対策・年収・転職難易度をプロが解説
「弁護士としてのキャリアに行き詰まりを感じている」
「法律事務所での働き方に限界を感じ、企業法務に興味がある」
「インハウス弁護士は楽なのか、それとも別の大変さがあるのか」
弁護士から企業法務(インハウス・企業内弁護士)への転職を検討する方は、年々増えています。一方で、情報の多くが断片的で、実態が分からないまま転職して後悔するケースも少なくありません。
私はこれまで、ハイクラス・専門職転職の支援を通じて、法律事務所から事業会社へ転職した弁護士の方々を数多く見てきました。本記事ではその経験をもとに、
・企業内弁護士の仕事内容
・転職難易度の実態
・年収水準のリアル
・面接で確実に見られているポイント
・弁護士が落ちやすい失敗パターン
まで、実務目線で徹底的に解説します。
弁護士から企業法務へ転職する人が増えている理由
インハウス転職が増えている背景には、いくつか明確な理由があります。
一つは、法律事務所における働き方の限界です。長時間労働、不規則な業務、案件獲得競争などに疲弊し、「このまま続けられるのか」と疑問を持つ方は少なくありません。
二つ目は、企業側のニーズ増加です。事業の複雑化、規制強化、グローバル展開により、法務を“コスト”ではなく“経営機能”として内製化する企業が増えています。
三つ目は、キャリアの多様化です。企業法務を経て、管理職、法務部長、執行役員、CLO、さらには経営企画や事業責任者へキャリアを広げる例も増えています。
弁護士資格は転職活動で有利になりやすい
これまで多くの弁護士資格を持つ方の転職支援に従事してきましたが、「弁護士資格」は転職活動で有利になりやすいといえます。それだけ弁護士資格を取るのは難しく、これまでの評価をいただきやすいといえます。
弁護士から転職:弁護士と企業法務の年収の違い
一般的に、弁護士と企業法務の年収には大きな差があります。弁護士は、年収1000万円を超えることも珍しくなく、五大法律事務所(西村あさひ法律事務所/長島・大野・常松法律事務所/アンダーソン・毛利・友常法律事務所/TMI総合法律事務所/森・濱田松本法律事務所)に勤めていれば2500万円以上を超えています。
企業法務での年収相場は企業によりますが「年収800万円〜1200万円」が相場になることが多く、1500万円を超える案件は少ない傾向にあります。
そのため、転職を検討する場合は年収を下げる必要があります。
一方で、
・安定した報酬
・ワークライフバランスの改善
・中長期での昇進・役員登用
を考慮すると、トータルでの満足度は高いケースも増えています。企業規模や業界によっては、年収800〜1,200万円前後・シニア層やCLO候補では1,500万円以上となることも珍しくありません。
キャリアアップもしたい…ただ年収はそこまで下げたくない…
キャリアアップもしたい…ただ年収はそこまで下げたくない…良い方法はないか?
企業内弁護士、企業内法務では年収が下がってしまいますが、「個人受任がOK」という企業が増えています。いわゆる副業を許可しているケースが増えていますので、そういった企業を探すのも1つです。
また、弁護士会費を企業側が支払うケースも増えていますので、理論想定の年収が下がったとしても条件の組み合わせ次第では転職をしやすいかと思います。
ただ、こういった案件は非公開案件として特定のエージェントが保有しているため、ハイクラス案件を扱うサービスを複数利用することをおすすめします。
弁護士から企業法務への転職・弁護士業務との違いについて
企業法務と弁護士業務は、いずれも法律に関する仕事であり、一部の共通点がありますが、以下のような違いがあります。
企業法務は、企業内部での法務業務全般を担当します。契約の作成・解釈、法令遵守、訴訟・紛争対応、知的財産管理、M&Aや株式公開など、多岐にわたります。
弁護士業務を行うには、法曹資格である司法試験に合格し、弁護士登録をする必要があります。企業法務には法曹資格が必須ではありませんが、法務の知識と経験が求められ、法務だけでなくビジネスの知識やコミュニケーション能力、交渉力なども必要となります。弁護士業務は、法律知識や分析力、説得力などが求められます。
弁護士から転職:インハウスへ転職する際の注意点
弁護士からインハウスへ転職する場合、以下のような具体的な注意点があります。
ビジネスマインドの獲得
インハウス弁護士に必要なのは、法的な知識だけではありません。ビジネス的な視点や戦略的な思考力、交渉力などが求められます。そのため、転職前にはビジネススキルやマネジメントスキルを磨くことが大切です。興味がある業界などの書籍などを目を通すだけでも通過率が変わってきます。
企業の業種・業態に関する知識の習得
インハウス弁護士は、企業の業種・業態に応じた法務を行う必要があります。転職前には、狙い目の企業について詳しく調べ、その企業の事業内容に合わせた法的な知識を身につけることが大切です。転職前には、現職でのスキルセットを強化し、将来的に求められるスキルを身につけることが大切です。
弁護士から転職:面接で企業が見ているポイント

企業内弁護士の面接で、最も重要なのは「視点の切り替えができているか」です。まず、「法律事務所的な思考から抜けられているか」。リスクを指摘するだけで終わるのではなく、「どうすれば事業として成立するか」を考えられるかが見られます。
次に、「社内コミュニケーションが取れるか」。法務は社内の調整役です。営業、企画、エンジニア、経営層と、立場の異なる人たちと円滑にやり取りできるかが重視されます。
そして、「長期的に会社にコミットする意思があるか」。インハウス弁護士は採用コストが高いため、「腰を据えて働いてくれるか」は必ず見られます。必要に応じて転職エージェントの利用をおすすめします。
弁護士から転職:企業法務面接でやりがちな失敗
よくある失敗の一つは、専門性を前に出しすぎることです。難解な法的議論を展開してしまい、「この人は社内では扱いづらそうだ」という印象を与えてしまうケースは少なくありません。
また、「なぜ企業に行きたいのか」の理由が弱いケースも多いです。「働き方を変えたい」「激務が嫌だ」といった動機だけでは、面接官の納得感は得られません。
さらに、「企業法務を理想化しすぎている」場合も注意が必要です。実際には地道な契約レビューや調整業務も多く、それを理解していないと見送られやすくなります。
弁護士から転職:海外法務の知見・実務経験が企業法務では非常に有利になる理由
海外法務の知見や実務経験がインハウスでは非常に有利になります。
グローバルなビジネス環境において、企業法務はますます重要になっています。国際化が進む現代社会において、海外法務の知見や実務経験を持つ法務担当者は、企業の海外展開において必要不可欠な存在となります。
海外法務の知見や実務経験を持つ法務担当者は、グローバルな法的事項に精通しており、企業にとって重要な国際取引やグローバルな法的問題を解決するための戦略的なアドバイスができます。
また、海外法務の知見や実務経験を持つ法務担当者は、外国法や国際法の知識を持っていることが多く、企業がグローバルなビジネス環境で法的なトラブルに直面した場合にも対処できるため、企業の法的リスクマネジメントに貢献することができます。
以上のように、海外法務の知見や実務経験を持つ法務担当者は、企業法務において非常に有利な立場にあります。グローバルなビジネス環境において、企業の法務戦略に必要な人材として、ますます重要視されることが予想されます。
弁護士のキャリアパスについて
弁護士からの転職には、以下のようなキャリアパスが考えられます。
企業法務
弁護士は法律に精通しているため、企業法務部門での職務に向いています。企業法務の仕事には、契約書作成や法務リスク管理、M&Aのサポートなどがあります。弁護士から企業法務に転職することで、企業側から法律的な観点でのアドバイスを提供することができます。
経営コンサルタント
弁護士は法律知識に加え、ビジネスの知識も持っているため、経営コンサルタントとしてのキャリアも考えられます。経営コンサルタントは、企業の課題解決や業務改善を支援する仕事です。
政府機関
弁護士は法律に詳しいため、政府機関での仕事も考えられます。例えば、行政書士や公証人などの職種があります。政府機関での仕事は、法律知識だけでなく、行政手続きや政策立案などの能力が必要とされます。
リーガルテック・SaaS
弁護士・法務職へビジネスを展開している場合は親和性があるといえます。またこれまで企業弁護を扱ってきた内容によっては選択肢がさらに広がるはずです。
上記のように、弁護士から転職する際には、自分のスキルや興味関心に合った職種を選ぶことが大切です。また、転職には資格や経験、人脈なども関係してくるため、十分な準備が必要です。
弁護士から転職:インハウスに転職をしたい理由を明確にする
企業の法務へ転職をしたい場合は「志望理由」が重要です。弁護士資格を活かした転職であれば数多く存在する中で、なぜインハウスへの転職を志望するのか?一般的に企業法務は、契約の作成・解釈、法令遵守、訴訟・紛争対応、知的財産管理、M&Aや株式公開など、多岐にわたるため求められるレベルが高いといえます。

弁護士から企業の法務部門に転職する理由は、様々なものがありますが、以下は一例です。
企業法務での仕事に興味がある
弁護士としての経験を活かし、企業法務での業務に興味を持ち、新しいキャリアに挑戦したいという理由が挙げられます。
ワークライフバランスの改善
法律事務所での勤務は、過密スケジュールや長時間労働がつきものであるため、企業法務に転職することで、労働環境やワークライフバランスを改善することを目的とする場合があります。
スペシャリストとしての発展
弁護士としての専門知識やスキルを活かし、企業法務での業務を担当することで、より専門的な分野でのスペシャリストとして成長することを目指す場合があります。弁護士としての業務では、顧客との関係は一時的なものが多いため、企業法務に転職することで、顧客と長期的な関係を築き、より深く関わることができると考える場合があります。
これらのように、弁護士から企業法務に転職する理由は、個人によって異なりますが、自分自身のキャリアやライフスタイルに合った仕事をするために、転職を検討する方が増えています。
まとめ|企業法務転職は準備次第で結果が変わる

弁護士から企業法務への転職は、決して簡単ではありません。しかし、評価軸を理解し、思考を切り替え、準備をしたうえで臨めば、成功確率は確実に高まります。
重要なのは、
・「なぜ企業法務なのか」を自分の言葉で語れること
・法律ではなく事業理解を軸に話せること
・長期視点でキャリアを描けていること
この記事が、企業法務転職を検討する方にとって、冷静な判断材料となれば幸いです。
あとがき
読者の皆様が、この記事を通じて「企業内弁護士」という選択肢を正しく理解し、自分にとって最適なキャリアを選ぶきっかけになれば幸いです。転職はゴールではなく、キャリアをどう設計するかの手段です。焦らず、準備を重ねたうえで、納得のいく一歩を踏み出してください。






























